「委託」と「依託」の違いは?辞書3冊を比較してわかった決定的な差を徹底解説!

「委託」と「依託」、ビジネスメールや契約書を書くときに「どっちが正しいの?」と迷った経験はありませんか?

どちらも「いたく」と読み、意味も似ているため混同しやすい言葉です。

しかし、使い方を間違えると「全部丸投げしている」という印象を与えてしまうことも。

今回、広辞苑・大辞泉・goo類語辞書の3冊を実際に比較して、両者の違いを徹底的に調べてみました。

結論:

  • 「委託」は契約に基づいて特定の業務を外部に任せること
  • 「依託」はすべてを頼りきって預ける・もたせかけること
  • ビジネス文書では「委託」を使えばOKです

この記事でわかること

  • 「委託」と「依託」の違いを比較表で解説
  • 辞書3冊を比較してわかった決定的な差
  • すぐ使える具体的な例文10選
  • 理解度チェッククイズ
  • 「外注」「委嘱」「依頼」など類語との違い

この記事では、辞書比較による独自検証と豊富な例文を使って、正しい使い分け方をわかりやすく解説しています。

もう迷わずに使えるよう、最後までご覧ください。

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「委託」と「依託」の違いとは?

「委託」と「依託」は、どちらも「いたく」と読む同音異義語です。

パッと見ただけでは違いがわかりにくく、ビジネスシーンで「どっちを使えばいいの?」と迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。

ここでは比較表を使って、ひと目で違いがわかるように整理しました。

「委託」と「依託」の違い比較表

まずは「委託」と「依託」の違いを表で確認してみましょう。

項目 委託 依託
意味 特定の仕事や事務処理を他人にまかせて頼むこと すべてを他人にまかせてやってもらうこと
使う場面 ビジネス・法律・契約関連 日常的な依頼・物を預ける場面
主な用例 業務委託、販売委託、委託契約 依託射撃、依託学生、依託生
ニュアンス 契約に基づいた正式な依頼 全面的に頼りきる、もたせかける
使用頻度 高い(一般的) 低い(限定的な場面で使用)

このように、「委託」は契約や仕事に関する場面で使われ、「依託」は全面的に頼りきる場面や、物理的に「もたせかける」意味で使われます。

実は私の知人が、取引先へのメールで「業務を依託いたします」と書いてしまい、上司から「それは委託だよ」と指摘されたことがありました。

似ている言葉だからこそ、違いを正しく理解しておくことが大切ですね。

「委託」の意味と漢字「委」の成り立ち

「委託」の「委」という漢字には、「ゆだねる」「まかせる」という意味があります。

「委」を使った熟語を見てみると、その特徴がよくわかります。

🔹 委任:特定の仕事や権限をまかせること
🔹 委員:ある役目をゆだねられた人
🔹 委細:くわしい内容をまかせる(「委細面談」など)

このように「委」がつく言葉は、「特定の範囲をまかせる」というニュアンスが共通しています。

つまり「委託」とは、ある限定された業務や事務処理を、信頼できる相手にまかせて頼むこと。

全部を丸投げするのではなく、「この部分をお願いします」と範囲を決めて依頼するイメージです。

ビジネスの現場では「業務委託契約」「販売委託」「委託販売」など、契約書や正式な文書で頻繁に登場する言葉ですね。

「依託」の意味と漢字「依」の成り立ち

一方、「依託」の「依」という漢字には、「よりかかる」「たよる」「もたれる」という意味があります。

「依」を使った熟語を確認してみましょう。

🔹 依存:相手に全面的にたよりきること
🔹 依頼:人にたのんでやってもらうこと
🔹 依拠:よりどころにすること

「依」がつく言葉には、「相手に身をあずける」「全面的にたよる」というニュアンスが含まれています。

「依託」は、すべてを他人にまかせてやってもらうという意味のほかに、「物をもたせかける」という物理的な意味も持っています。

たとえば「依託射撃」という言葉は、銃を台や物にもたせかけて安定させ、命中率を上げる射撃方法のこと。

また「依託学生」は、企業や団体が学費を負担し、学校に教育をすべてまかせた学生を指します。

日常会話やビジネス文書で「依託」を使う機会は少ないですが、特定の分野では今でも使われている言葉です。

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3つの辞書を比較!「委託」と「依託」の定義を検証

「委託」と「依託」の違いをより深く理解するために、今回は広辞苑(精選版 日本国語大辞典)、大辞泉、goo類語辞書の3つの辞書を実際に調べて比較してみました。

辞書ごとに説明の仕方や例文が微妙に異なるため、比較することで両者の違いがより鮮明になります。

広辞苑・大辞泉・類語辞書での「委託」の説明

まずは「委託」について、3つの辞書がどのように説明しているか見てみましょう。

辞書名 「委託」の説明
精選版 日本国語大辞典 ①依託と同義 ②法律用語として、ある行為・事務などを他人または他の機関に頼むこと ③商取引で、客が商品仲買人や証券業者に注文を出すこと
デジタル大辞泉 ①ゆだね任せること。人に頼んで代わりにやってもらうこと ②契約などの法律行為やその他の事務処理を他人に依頼すること ③客から取引所の取引員に注文を出すこと
goo類語辞書 業務、事務などを外部の人・機関に頼んで任せること。法律用語としても一般にも「委託」を使うことが多い

3つの辞書を比較してみると、「委託」には共通して「法律行為」「契約」「事務処理」といったキーワードが登場していることがわかります。

つまり「委託」は、単に頼むだけでなく、正式な契約や法的な手続きを伴う場面で使われる言葉なのです。

特に注目したいのは、goo類語辞書の「法律用語としても一般にも『委託』を使うことが多い」という記述。

ビジネスや公的な文書では「委託」を選んでおけば間違いないと言えるでしょう。

広辞苑・大辞泉・類語辞書での「依託」の説明

次に「依託」について、同じく3つの辞書で比較してみます。

辞書名 「依託」の説明
精選版 日本国語大辞典 ①物事を他人に頼んでやらせること。任せてやってもらうこと ②物によりかかること。もたせかけること ③かこつけること
デジタル大辞泉 ①他の人にまかせてやってもらうこと ②もたせかけること(例:銃を台に依託する)
goo類語辞書 業務を他に頼んで任せること。任せるというよりは依存し、頼りきって物事を預けてしまうという意味合いが強い

「依託」の説明を見ると、「委託」にはなかった「もたせかける」「よりかかる」「頼りきる」といった表現が目立ちます。

特にgoo類語辞書の「任せるというよりは依存し、頼りきって物事を預けてしまう」という説明は、「依託」の本質をよく表しています。

「委託」が対等な立場での依頼なのに対し、「依託」は相手に全面的に身をあずけるニュアンスが含まれているのです。

辞書比較からわかった決定的な違い

3つの辞書を比較した結果、「委託」と「依託」には以下の決定的な違いがあることがわかりました。

比較ポイント 委託 依託
依頼の範囲 特定の業務・事務に限定 すべてを丸ごと任せる
使用場面 法律・契約・ビジネス 日常的な依頼・物理的な動作
ニュアンス 対等な立場での正式な依頼 頼りきる・依存する
もう一つの意味 なし 物をもたせかける
使用頻度 高い(一般的に使用) 低い(限定的な場面で使用)

私の同僚が以前、社内文書で「外部業者に依託する」と書いたところ、上司から「ここは委託が正しい」と修正されたそうです。

理由を聞くと、「依託だと『全部丸投げして頼りきっている』ように見えてしまう」とのこと。

たしかに、辞書の説明を見ると「依託」には「依存」「頼りきる」というニュアンスが含まれています。

ビジネス文書では、対等な関係で正式に依頼する「委託」を使うのが適切だと、この比較検証で改めて確認できました。

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「委託」と「依託」の使い分け方と具体的な例文

辞書の定義がわかったところで、実際にどのように使い分ければいいのか気になりますよね。

ここでは「委託」と「依託」それぞれの具体的な使用場面と例文を紹介します。

例文を見ることで、両者の違いがより実感できるはずです。

「委託」を使う場面と例文5選

「委託」は、契約や正式な依頼を伴うビジネスシーンで使われます。

以下に代表的な使用場面と例文を5つ紹介します。

① 業務委託(外部への仕事の依頼)

経理業務を専門の会計事務所に委託することになった。

② 販売委託(商品の販売を任せる)

自社製品の販売を大手量販店に委託している。

③ 委託契約(正式な契約を結ぶ)

フリーランスのデザイナーと委託契約を締結した。

④ 管理委託(建物や施設の管理を任せる)

マンションの共用部分の清掃は、管理会社に委託している。

⑤ 研究委託(調査や研究を依頼する)

新製品の市場調査を外部のリサーチ会社に委託した。

このように「委託」は、仕事や業務を外部の専門家・企業に正式に依頼する場面で使われます。

契約書や公的な文書でも頻繁に登場する言葉ですね。

ポイントは、依頼する側と受ける側が対等な立場であること。

「この部分をお願いします」と範囲を決めて依頼するイメージです。

「依託」を使う場面と例文5選

一方、「依託」は使用頻度が低く、特定の分野や文脈で使われることが多い言葉です。

以下に代表的な使用場面と例文を5つ紹介します。

① 依託射撃(銃をもたせかけて撃つ)

狙撃手は窓枠に銃を依託して、標的を狙った。

② 依託学生(企業などが学費を負担して学校に教育を任せる)

彼は防衛省の依託学生として大学で学んでいる。

③ 物をもたせかける(物理的に寄りかからせる)

重い荷物を壁に依託して、少し休憩した。

④ 全面的に任せる(頼りきる)

母から依託された用向きについて、兄に相談した。(夏目漱石『行人』より)

⑤ 教育を任せる

社員研修を外部の教育機関に依託するケースもある。

「依託」の特徴は、「頼りきる」「すべてを任せる」というニュアンスが強いこと。

また、「依託射撃」のように物理的に「もたせかける」という意味でも使われます。

現代のビジネス文書で「依託」を見かける機会は少ないですが、軍事用語や教育関連の分野では今でも使われています。

間違えやすいケースと正しい使い方

「委託」と「依託」を混同しやすいケースを整理しました。

迷ったときの参考にしてください。

シチュエーション 正しい表現 理由
外部業者に仕事を頼む 業務を委託する 契約に基づく正式な依頼のため
商品の販売を任せる 販売を委託する 商取引における正式な依頼のため
銃を台にもたせかける 銃を台に依託する 物理的に寄りかからせる意味のため
学費を出して学校に教育を任せる 依託学生 全面的に教育を任せる意味のため
子どもの世話を全面的に任せる 子どもを依託する 頼りきって預ける意味のため

【迷ったときの判断基準】

🔹 契約・ビジネス・法律関連 → 「委託」
🔹 全面的に頼りきる・物をもたせかける → 「依託」
🔹 どちらか迷ったら → 「委託」を選べばほぼ間違いない

goo類語辞書にも「法律用語としても一般にも『委託』を使うことが多い」と記載されています。

ビジネスシーンや公的な文書では「委託」を使っておけば、まず問題ありません。

【クイズ】「委託」と「依託」を正しく使い分けよう

ここまで「委託」と「依託」の違いについて解説してきました。

理解度をチェックするために、クイズに挑戦してみましょう。

次の文章の( )に入るのは「委託」と「依託」のどちらでしょうか?

問題1〜3

【問題1】

当社は、ホームページの制作業務を専門のWeb制作会社に(  )することにした。

A. 委託 B. 依託

【問題2】

狙撃訓練では、銃を土のうに(  )して安定させる技術を学んだ。

A. 委託 B. 依託

【問題3】

彼は航空会社の(  )学生として、大学でパイロットになるための訓練を受けている。

A. 委託 B. 依託

答えは決まりましたか?

それでは、解答と解説を見ていきましょう。

解答と解説

【問題1の解答】A. 委託

当社は、ホームページの制作業務を専門のWeb制作会社に委託することにした。

解説: ホームページ制作という「特定の業務」を外部の会社に正式に依頼する場面です。
契約に基づいたビジネス上の依頼なので「委託」が正解。「業務委託契約」という言葉があるように、仕事を外部に頼むときは「委託」を使います。

【問題2の解答】B. 依託

狙撃訓練では、銃を土のうに依託して安定させる技術を学んだ。

解説: 銃を物にもたせかけて安定させるという「物理的な動作」を表しています。
「依託」には「もたせかける」という意味があり、「依託射撃」という専門用語でも使われます。
このような物理的に寄りかからせる場面では「依託」が正解です。


【問題3の解答】B. 依託

彼は航空会社の依託学生として、大学でパイロットになるための訓練を受けている。

解説: 「依託学生」とは、企業や団体が学費を負担し、学校に教育をすべて任せた学生のこと。
学生の教育を全面的に学校に頼りきって預けるというニュアンスがあるため「依託」が使われます。
防衛省や航空会社などでは今でも「依託学生」という制度があります。

【まとめ】

問題 正解 ポイント
問題1 委託 ビジネス・契約に基づく依頼
問題2 依託 物をもたせかける物理的動作
問題3 依託 全面的に頼りきって任せる

3問とも正解できましたか?

間違えてしまった方も、この記事を読み返せば違いがしっかり理解できるはずです。

日常生活やビジネスの場面で迷ったときは、「契約・仕事関連なら委託」「頼りきる・もたせかけるなら依託」と覚えておきましょう。

「委託」「依託」に関連する類語との違い

「委託」や「依託」には、似た意味を持つ言葉がいくつかあります。

ビジネスシーンでは「外注」「委嘱」「依頼」などもよく使われますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。

ここでは、混同しやすい類語との違いを整理しておきましょう。

「委託」と「外注」の違い

「委託」と「外注」は、どちらも社外に仕事を頼むときに使われる言葉です。

広い意味ではほぼ同じですが、言葉の重点に違いがあります。

項目 委託 外注
重点 仕事を「依頼する」行為そのもの 仕事を「外部で処理する」こと
ニュアンス 正式な契約・信頼関係に基づく 社内でやらず外部に出すという事実
使用場面 契約書・公的文書・フォーマルな場面 社内会話・カジュアルな場面

たとえば、「この業務は外注に出そう」と社内で話し合い、正式に契約を結ぶときは「A社に業務を委託する」と表現します。

簡単に言えば、「外注」は業務の処理方法を指し、「委託」は依頼という行為を指すという違いがあります。

社内のカジュアルな会話では「外注」、契約書やメールなどのフォーマルな文書では「委託」と使い分けるとスマートですね。

「委託」と「委嘱」の違い

「委嘱(いしょく)」も「委託」と似た言葉ですが、使う場面や期間に違いがあります。

項目 委託 委嘱
意味 業務や事務処理を外部に任せる 専門的な仕事を一定期間だけ任せる
対象となる仕事 幅広い業務全般 専門性の高い仕事・役職
期間 比較的長期・継続的な場合が多い 一定期間に限定されることが多い
依頼する相手 企業・機関・個人など幅広い 専門家・有識者など

「委嘱」は、専門的な知識や技術を持つ人に、一定期間だけ特定の役割を任せるときに使われます。

たとえば、審議会の委員や監査役などを外部の専門家にお願いする場合は「委嘱」が適切。一方、日常的な業務を外部企業に任せる場合は「委託」を使います。

【使い分けのポイント】

🔹 専門家に一定期間の役職・仕事を頼む → 委嘱
🔹 業務や事務処理を外部に頼む → 委託

「依託」と「依頼」の違い

最後に、「依託」と読み方が似ている「依頼」との違いを確認しましょう。

項目 依託(いたく) 依頼(いらい)
意味 すべてを他人にまかせてやってもらう 人に用件を頼むこと
ニュアンス 全面的に頼りきる・丸ごと預ける お願いする・頼む
使用頻度 低い(限定的な場面) 高い(日常的に使用)
もう一つの意味 物をもたせかける 他人を当てにする(依頼心など)

「依頼」は日常的によく使う言葉で、「仕事を依頼する」「執筆を依頼する」のように、相手に用件を頼むときに幅広く使われます。

一方、「依託」は「全面的に頼りきって預ける」というニュアンスが強く、使用頻度も低い言葉です。

また、「依頼」には「依頼心が強い」のように「他人を当てにする気持ち」という意味もあります。

「依託」と「依頼」は、読み方は似ていますが、使う場面が大きく異なるので注意しましょう。

【類語の違いまとめ表】

言葉 主な意味 使用場面
委託 業務や事務を外部に任せる ビジネス・契約・公的文書
外注 社外に仕事を出すこと 社内会話・カジュアルな場面
委嘱 専門家に一定期間の仕事を任せる 役職・専門的業務の依頼
依託 すべてを丸ごと任せる・もたせかける 限定的な場面(依託学生など)
依頼 人に用件を頼む 日常的な場面で幅広く使用

「委託」と「依託」に関するQ&A

ここまで「委託」と「依託」の違いについて詳しく解説してきました。

最後に、読者の方からよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

気になる質問があれば、ぜひチェックしてみてください。

Q1. ビジネス文書ではどちらを使えばいい?

A. ビジネス文書では「委託」を使うのが正解です。

goo類語辞書にも「法律用語としても一般にも『委託』を使うことが多い」と記載されているように、契約書、メール、社内文書などビジネスシーンでは「委託」が標準的に使われます。

「依託」には「頼りきる」「依存する」というニュアンスが含まれるため、ビジネス文書で使うと「全部丸投げしている」という印象を与えかねません。

迷ったときは「委託」を選んでおけば、まず間違いありません。

Q2.「依託」は誤用や間違いではないの?

A.「依託」は誤用ではありません。正式な日本語として辞書にも掲載されています。

Yahoo!知恵袋などでは「依託は誤用」という意見も見られますが、これは正確ではありません。

広辞苑(精選版 日本国語大辞典)やデジタル大辞泉など、主要な国語辞典に「依託」はきちんと掲載されています。

ただし、使用頻度が低く、使う場面が限られているのは事実です。

現代のビジネスシーンでは「委託」が一般的なので、「依託」を見かける機会が少ないだけ。

決して間違った言葉ではないので、安心してください。

Q3.「依託射撃」「依託学生」ってどういう意味?

A. どちらも「依託」の意味を活かした専門用語です。

🔹 依託射撃 銃を台や窓枠などにもたせかけて安定させ、命中率を高める射撃方法のこと。
「依託」の「もたせかける」という意味が使われています。
軍事や射撃訓練の分野で使われる専門用語です。

🔹 依託学生 企業や官公庁が学費を負担し、大学などの教育機関に教育を全面的に任せた学生のこと。
防衛省や航空会社などでは、将来の幹部候補生を「依託学生」として大学に送り込む制度があります。
「依託」の「すべてを任せる」という意味が使われています。

どちらも日常会話ではあまり聞かない言葉ですが、それぞれの分野では今でも使われている正式な用語です。

Q4.「委託販売」と「依託販売」どちらが正しい?

A. 正しくは「委託販売」です。

商品の販売を他者に任せる場合は「委託販売」が正式な表現です。

これは商取引における契約に基づく依頼なので、「委託」を使うのが適切。

「依託販売」という表現は一般的ではなく、辞書や法律用語としても使われていません。

ビジネス文書や契約書で「依託販売」と書いてしまうと、誤りと判断される可能性があるので注意しましょう。

同様に、「業務委託」「販売委託」「管理委託」なども、すべて「委託」が正しい表現です。

Q5. 公的機関への依頼はどちらを使う?

A. 公的機関への依頼も「委託」を使うのが一般的です。

行政や公的機関に関連する場面でも、「委託」が標準的に使われます。

たとえば、自治体が民間企業にごみ収集業務を任せる場合は「業務委託」、国が調査機関に研究を依頼する場合は「調査委託」と表現します。

法律用語としても「委託」が使われており、民法や行政法の条文にも「委託」という言葉が登場します。

公的文書や行政手続きでは「委託」を使っておけば問題ありません。

【Q&Aまとめ】

質問 回答のポイント
ビジネス文書ではどちらを使う? 「委託」が正解
「依託」は誤用? 誤用ではない。辞書にも掲載されている
依託射撃・依託学生とは? 専門分野で使われる正式な用語
委託販売と依託販売どちらが正しい? 「委託販売」が正しい
公的機関への依頼は? 「委託」を使うのが一般的

まとめ

「委託」と「依託」は、どちらも「いたく」と読む同音異義語ですが、意味には明確な違いがあります。

「委託」は特定の業務や事務処理を契約に基づいて外部に任せること。

一方「依託」は、すべてを他人に頼りきって預けることや、物をもたせかけるという意味を持ちます。

今回、広辞苑・大辞泉・goo類語辞書の3冊を比較した結果、「委託」は法律用語やビジネスシーンで広く使われ、「依託」は依託射撃や依託学生など限定的な場面で使われることがわかりました。

迷ったときは「委託」を選べばまず間違いありません。

この記事を参考に、正しく使い分けてみてください。

著者・監修者情報

日本語ライター/語彙研究家。幼い頃から日本語や言葉の響きに深い関心を持ち、
言葉の意味や使い分けを体系的に学んできました。
現在は「日本語の奥深さをわかりやすく伝える」をテーマに、記事執筆・監修を行っています。

資格・経歴

  • 2012年:日本語検定1級 取得
  • 2012年:日本語文章能力検定1級 取得
  • 日本語教育・語彙研究分野での執筆・監修活動(累計100記事以上)

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※本記事は日本語学習・語彙研究の観点から執筆・監修されています。
※内容は複数の国語辞典・文化庁資料を参考に、独自の視点で再構成しています。

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