
「友人にこの映画をすすめる」「医者に運動をすすめられた」
日常でよく使う「すすめる」という言葉ですが、漢字で書くとき「薦める」と「勧める」のどちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?
実は、この2つの漢字は使う場面が全く違います。


特にビジネスメールや正式な文書では、正しく使い分けたいですよね。
「薦める」は人や物を推すとき、「勧める」は行動を促すときに使います。
例えば、「この本を薦める」なら本という物を推していますが、「読書を勧める」なら読むという行動を促しているんです。
この記事では、「薦める」と「勧める」の違いを、意味・使い分け・具体例を通して徹底解説します。
よくある間違い例や、迷ったときの判断方法、さらに英語での表現方法まで、分かりやすくお伝えしていきます。
この記事を読めば、もう「どっちだっけ?」と迷うことはありません。
日常会話からビジネスシーンまで、自信を持って正しく使いこなせるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
「薦める」と「勧める」の違いとは?
「薦める」と「勧める」は、どちらも「すすめる」と読む同音異義語ですが、実は使う場面が大きく異なります。
この違いを理解していないと、ビジネスメールや日常会話で恥ずかしい間違いをしてしまうことも。
ここでは、それぞれの意味と基本的な使い分けについて分かりやすく解説します。
どちらも「すすめる」だけど意味が違う
「薦める」と「勧める」は、どちらも「すすめる」と読みますが、その意味は全く違います。
「勧める」の意味
「勧める」は、相手に何かをするように促したり、誘ったりするときに使います。
例えば、「運動を勧める」「参加を勧める」のように、行動を促す場面で使われます。
「薦める」の意味
一方、「薦める」は、人や物を推薦したり紹介したりするときに使います。
「友人を薦める」「この本を薦める」のように、何かを「これがいいですよ」と推す場面で使われます。
実は、私も以前「新入社員を勧める」と書いてしまい、上司から「それだと新入社員になることを促しているみたいだよ」と指摘されたことがあります。

簡単に言えば、「勧める」は「~しませんか?」と誘うとき、「薦める」は「この人・物がいいですよ」と推すときに使うと覚えておきましょう。
「勧める」は「誘う」「提案する」ときに使う
「勧める」は、相手に行動を起こすよう促したり、提案したりする場面で使います。
「勧める」を使う具体的な場面
- 健康のために散歩を勧める
- 早めの休息を勧める
- 参加を勧める
- 禁煙を勧める
- 転職を勧める
これらはすべて「~することを提案する」「~するように促す」という意味ですね。
「勧める」の語源
「勧める」の「勧」という漢字には、「強く促す」「励ます」という意味があります。
だから「勧誘(かんゆう)」という言葉もありますよね。
実際のエピソードとして、友人が「医者に運動を薦められた」と言っていましたが、これは間違い。

覚え方のコツ
「勧める」の「勧」には「ススメる」という意味があり、誰かに「~しませんか?」と行動を促すイメージです。
「勧誘」「勧告」など、人に何かをするよう働きかける言葉に使われていることを思い出すと覚えやすいでしょう。
「薦める」は「推す」「紹介する」ときに使う
「薦める」は、人や物を推薦したり、「これがいいですよ」と紹介したりする場面で使います。
「薦める」を使う具体的な場面
- 友人にレストランを薦める
- 上司に部下を薦める
- 読者におすすめの本を薦める
- 就職先として○○社を薦める
- この映画を薦める
これらはすべて「これが良い」「この人が適任だ」と推している場面ですね。
「薦める」の語源
「薦める」の「薦」という漢字は、もともと「推薦する」「引き立てる」という意味を持っています。
「推薦状」という言葉からもイメージしやすいでしょう。
私の知り合いが転職活動中、履歴書に「前職の上司が私を勧めてくれました」と書いていましたが、これも間違い。
上司は「この人がいいですよ」と推薦しているので、正しくは「薦めてくれました」です。
覚え方のコツ
「薦める」は「推薦」の「薦」。
何かや誰かを「イチオシ!」として紹介するときに使うと覚えましょう。
SNSで「推し」という言葉が流行っていますが、まさにそのイメージです。
「薦める」と「勧める」の使い分け方
「薦める」と「勧める」の基本的な意味は分かっても、実際の場面でどちらを使えばいいか迷うことがありますよね。
特にビジネスシーンでは正しく使い分けたいもの。
ここでは、具体的な場面での使い分け方と、間違えやすいポイント、そして正しく使うためのコツを詳しく解説します。
具体的な場面での使い分けの違い
実際の生活やビジネスシーンで、どちらを使うべきか具体的に見ていきましょう。
日常生活での使い分け
場面 | 正しい表記 | 理由 |
---|---|---|
友人にカフェを紹介する | 「このカフェを薦める」 | お店という「物」を推している |
友人に運動を提案する | 「運動を勧める」 | 運動という「行動」を促している |
好きな映画を紹介する | 「この映画を薦める」 | 作品を推薦している |
早く寝るよう言う | 「早寝を勧める」 | 行動を促している |
ビジネスシーンでの使い分け
場面 | 正しい表記 | 理由 |
---|---|---|
部下を昇進候補に挙げる | 「部下を薦める」 | 人物を推薦している |
顧客に新サービス導入を提案 | 「導入を勧める」 | 行動を促している |
取引先の会社を紹介する | 「○○社を薦める」 | 企業を推している |
休暇取得を促す | 「休暇を勧める」 | 行動を提案している |
判断のポイント
- 「これ/この人がいいですよ」→「薦める」
- 「~しませんか?」「~した方がいいですよ」→「勧める」
私の後輩が取引先へのメールで「弊社のサービスを薦めさせていただきます」と書いていましたが、これは微妙なケース。
サービスという「商品」を推しているなら「薦める」でもOKですが、「ご利用を勧める」とする方がより自然です。
「勧める」「薦める」を間違えやすい例
実際によく間違えてしまう例を見ていきましょう。
間違えやすい例①:商品・サービスの紹介
❌「この商品の購入を薦めます」
⭕「この商品の購入を勧めます」または「この商品を薦めます」
購入という「行動」を促すなら「勧める」、商品そのものを推すなら「薦める」が正解です。
間違えやすい例②:人物の推薦
❌「田中さんを次期リーダーに勧めます」
⭕「田中さんを次期リーダーに薦めます」
人物を推薦する場面なので「薦める」が正解。「勧める」だと「田中さんにリーダーになることを促す」という意味になってしまいます。
間違えやすい例③:本や映画の紹介
❌「友人にこの本を読むことを薦めた」
⭕「友人にこの本を薦めた」または「友人にこの本を読むよう勧めた」
本という「物」を推すなら「薦める」、読むという「行動」を促すなら「勧める」です。
実体験エピソード
私がアルバイトをしていたとき、店長から「お客様に新商品を薦めて」と言われましたが、実際には商品購入という行動を促すことが目的だったので、「新商品の購入を勧める」が正確でした。
でも、商品そのものの良さをアピールする意味では「薦める」も間違いではないんですね。
このように、文脈によっては両方使える場合もあります。
正しく使うコツと覚え方
「薦める」と「勧める」を確実に使い分けるための、簡単な覚え方とコツをご紹介します。
覚え方①:「推」と「行」で判断
- 「薦める」=「推薦」の薦→人や物を推す
- 「勧める」=「行動」を促す
この2つの漢字のイメージで判断すると間違えにくくなります。
覚え方②:言い換えテスト 文章を言い換えてみて判断する方法も効果的です。
- 「推薦する」「紹介する」に言い換えられる→「薦める」
- 「提案する」「促す」に言い換えられる→「勧める」
例:「友人にこのレストランを○○する」 →「紹介する」が自然→「薦める」が正解
覚え方③:「を」と「ように」で判断
- 「○○を薦める」→物・人を推す
- 「○○するように勧める」→行動を促す
この助詞の使い方でも判断できます。
迷ったときの対処法
どうしても迷ったときは、以下の方法があります。
- ひらがなで「すすめる」と書く(間違いではない)
- 文章を組み立て直す(例:「勧める」→「提案する」に変える)
- 「推薦」か「提案」か考える
実際、私も新人時代に上司から「迷ったら無理に漢字を使わず、ひらがなで『すすめる』でもいいんだよ」とアドバイスされました。
特にメールでは、間違った漢字を使うより、ひらがなの方が安全な場合もあります。
練習問題で確認
次の文章、どちらが正しいでしょうか?
- 「医者に禁煙を(薦められた・勧められた)」
- 「上司に参考書を(薦められた・勧められた)」
答え:1は「勧められた」(禁煙という行動を促された)、2は「薦められた」(参考書という物を推薦された)
「薦める」「勧める」の例文一覧
理論は分かっても、実際の使い方を見ないとイメージが湧きにくいですよね。
そこで、ここでは「薦める」と「勧める」それぞれの具体的な例文を、日常会話からビジネスシーンまで幅広くご紹介します。
例文を比較しながら、使い分けのコツをしっかり身につけましょう。
「勧める」の例文(会話・ビジネスシーン別)
「勧める」は行動を促す場面で使います。
日常会話とビジネスシーンに分けて例文を見ていきましょう。
日常会話での「勧める」例文
- 「医者に毎日のウォーキングを勧められた」
- 「友人に早めの就寝を勧めた」
- 「母が私に野菜をもっと食べるよう勧めてくる」
- 「彼にダイエットを勧めたけど、全然聞いてくれない」
- 「先生から読書の習慣を勧められた」
- 「健康診断の受診を勧める」
これらはすべて「~する」という行動を促していますね。
ビジネスシーンでの「勧める」例文
- 「上司に有給休暇の取得を勧められた」
- 「クライアントに新プランへの移行を勧める」
- 「部下に資格取得を勧めた」
- 「取引先に早期発注を勧める」
- 「社員に在宅勤務の活用を勧めている」
- 「顧客に定期メンテナンスの実施を勧める」
「勧める」を使った丁寧な表現
ビジネスでは、より丁寧に表現することも大切です。
- 「ご検討を勧めさせていただきます」
- 「早めのご予約を勧めいたします」
- 「ご参加を勧めております」
私が営業をしていたとき、「お客様に商品購入を薦めます」と書いたメールを送ってしまい、先輩から「購入という行動を促すなら『勧める』だよ」と指摘されたことがあります。
このような実践的な場面で間違えやすいので注意が必要です。
「薦める」の例文(紹介・推薦シーン別)
「薦める」は人や物を推薦する場面で使います。
それぞれのシーンで見ていきましょう。
物を紹介するときの「薦める」例文
- 「友人にこのレストランを薦めた」
- 「この映画を心から薦めたい」
- 「部長に参考資料として、この本を薦める」
- 「旅行先として京都を薦めます」
- 「初心者にこのアプリを薦めている」
- 「彼女にプレゼントとして、このブランドを薦めた」
人を推薦するときの「薦める」例文
- 「プロジェクトリーダーとして田中さんを薦めます」
- 「新入社員として彼を薦めたい」
- 「委員会のメンバーに山田さんを薦める」
- 「後任として部下を薦めた」
- 「この仕事に最適な人材を薦めさせていただきます」
「薦める」を使った丁寧な表現
- 「こちらの商品を薦めさせていただきます」
- 「候補者として○○を薦めいたします」
- 「推薦図書として薦めております」
実体験から学んだこと
大学のゼミで教授に「後輩を勧めます」と書いて提出したところ、「後輩に何かをするよう促すの?それとも後輩を推薦するの?」と聞かれました。
私は後輩をゼミのメンバーとして推薦したかったので、正しくは「薦めます」でした。
このように、人を推薦する場面では必ず「薦める」を使います。
例文で違いを比較
同じような場面でも、「薦める」と「勧める」で意味が変わります。
比較しながら違いを確認しましょう。
比較例文①:本に関する表現
「薦める」の例文 | 「勧める」の例文 |
---|---|
「この本を薦める」(本そのものを推す) | 「この本を読むよう勧める」(読む行動を促す) |
「友人に参考書を薦めた」 | 「友人に勉強を勧めた」 |
「おすすめの小説として薦める」 | 「読書の習慣を勧める」 |
比較例文②:仕事に関する表現
「薦める」の例文 | 「勧める」の例文 |
---|---|
「この会社を就職先として薦める」 | 「転職を勧める」 |
「部下を昇進候補に薦める」 | 「部下に昇進試験の受験を勧める」 |
「取引先として○○社を薦める」 | 「取引の開始を勧める」 |
比較例文③:日常生活での表現
「薦める」の例文 | 「勧める」の例文 |
---|---|
「このカフェを薦める」 | 「カフェでの休憩を勧める」 |
「観光地として沖縄を薦める」 | 「旅行に行くことを勧める」 |
「治療法としてこの病院を薦める」 | 「早めの受診を勧める」 |
ポイント整理
上記の比較から分かるように、
- 「薦める」→「何を」という対象に注目(名詞が来る)
- 「勧める」→「どうする」という行動に注目(動詞が来ることが多い)
間違えやすい実例
私の友人がSNSで「みんなにこのドラマを見ることを薦める!」と投稿していました。
これは「見る」という行動を促しているので「勧める」が正しいです。
ただし「このドラマを薦める」なら正解。
このように、「~すること」という表現が入ると「勧める」になることが多いので注意しましょう。
練習問題
次の( )に入るのは「薦める」「勧める」のどちらでしょうか?
- 「友人にこのゲームを( )」
- 「医者に運動を( )られた」
- 「上司に後輩を( )た」
- 「早めの予約を( )します」
答え:1.薦める、2.勧め、3.薦め、4.勧め
「薦める」「勧める」と似た言葉との違い
「薦める」と「勧める」以外にも、「すすめる」と読む漢字や似た意味の言葉がいくつかあります。
「奨める」や、あえてひらがなで書く「すすめる」、さらに「推す」「紹介する」との違いも気になりますよね。
それぞれの違いを理解して、より正確な日本語を使いこなしましょう。
「奨める」との違い
「奨める」も「すすめる」と読みますが、「薦める」「勧める」とは使う場面が異なります。
「奨める」の意味
「奨める」は、ある行為や活動を積極的に励まし、促進するときに使います。
「奨励(しょうれい)」という言葉を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
「奨める」を使う場面
- 「読書を奨める」(読書活動を推進する)
- 「スポーツを奨める」(スポーツ活動を奨励する)
- 「環境保護活動を奨める」
- 「若者の起業を奨める」
3つの違いを比較
漢字 | 意味 | 使う場面 | 例文 |
---|---|---|---|
勧める | 行動を促す | 個人的な提案 | 「友人に運動を勧める」 |
薦める | 人や物を推す | 推薦・紹介 | 「この本を薦める」 |
奨める | 活動を励ます | 社会的な推進 | 「読書活動を奨める」 |
実際の使い分け
❌「この映画を奨める」→⭕「この映画を薦める」
❌「散歩を奨められた」→⭕「散歩を勧められた」
⭕「国が環境保護を奨める」
「奨める」は、個人的な推薦というより、社会全体や組織として何かを推進・奨励するニュアンスがあります。
そのため、日常会話ではあまり使われず、「薦める」「勧める」のどちらかで対応できることがほとんどです。
実は私も学生時代、「先生が部活動を奨めてくれた」と書いたことがありますが、これは個人的な勧誘なので「勧めてくれた」が正しかったです。
「奨める」は公的・組織的な推進活動に使うと覚えておきましょう。
「すすめる(ひらがな)」との違い
「すすめる」とひらがなで書く場合もありますが、これには明確な理由があります。
ひらがなで書く理由
- どの漢字か判断に迷うとき
- 柔らかい印象を出したいとき
- 読みやすさを優先するとき
ひらがな表記が適している場面
- 子ども向けの文章
- カジュアルなSNS投稿
- 漢字の使い分けに自信がないとき
- 親しみやすさを重視する広告文
例文比較
- 「この商品を薦めます」(フォーマル、推薦の意図が明確)
- 「この商品をすすめます」(カジュアル、親しみやすい)
ビジネスシーンでの注意点
ビジネスメールや正式な文書では、基本的に漢字を使う方が適切です。
ただし、以下のような場合はひらがなでも問題ありません。
- 顧客向けの親しみやすい案内文
- 社内の気軽なメッセージ
- どうしても漢字の使い分けに自信がないとき
実体験エピソード
私が新社会人のとき、取引先へのメールで「薦める」と「勧める」のどちらか迷い、結局「すすめる」とひらがなで書いて送ったことがあります。
先輩からは「間違った漢字を使うよりは、ひらがなの方がいい判断だね。
ただ、次からは正しい漢字を使えるようにしよう」とアドバイスされました。
使い分けの目安
状況 | おすすめの表記 |
---|---|
正式なビジネス文書 | 漢字(薦める/勧める) |
フレンドリーな案内 | ひらがな(すすめる)もOK |
どちらか迷ったとき | ひらがな(すすめる)で安全 |
子ども向け文章 | ひらがな(すすめる) |
「推す」「紹介する」との違い
「薦める」と似た意味を持つ「推す」や「紹介する」との違いも確認しましょう。
「推す」との違い
「推す」は、特に「応援する」「支持する」というニュアンスが強い言葉です。
- 「推す」→強く支持する、応援する(主観的)
- 「薦める」→良いものとして勧める(客観的にも評価)
使い分けの例
- 「このアイドルを推している」(ファンとして応援)
- 「このアイドルを薦める」(良いから他人に紹介)
最近は「推し」という言葉が流行していますが、これは個人的な熱い応援の気持ちを表しています。
一方、「薦める」はもう少し客観的に「これは良いですよ」と紹介するニュアンスです。
「紹介する」との違い
「紹介する」は、単に情報や人を知らせる意味で使われます。
- 「紹介する」→情報を伝える(中立的)
- 「薦める」→良いものとして勧める(評価を含む)
使い分けの例
- 「新しいカフェを紹介する」(存在を知らせる)
- 「新しいカフェを薦める」(良いから行ってほしい)
比較表でまとめ
言葉 | ニュアンス | 使う場面 | 例文 |
---|---|---|---|
推す | 主観的な応援・支持 | ファン活動など | 「この俳優を推している」 |
薦める | 客観的に良いと判断 | 推薦・おすすめ | 「この本を薦める」 |
紹介する | 中立的な情報提供 | 存在を知らせる | 「友人を紹介する」 |
勧める | 行動を促す | 提案・助言 | 「運動を勧める」 |
実際の使い分け例
私の友人が「みんなにこのラーメン屋を推したい!」とSNSに書いていましたが、これは個人的に大好きで応援したいという気持ちが強い表現です。
もし「この店は美味しいから行ってみて」というニュアンスなら「薦めたい」の方が適切。
ただし、SNSでは「推す」の方がカジュアルで親しみやすい印象になりますね。
英語で「薦める」「勧める」はどう表現する?
日本語では「薦める」と「勧める」を使い分けますが、英語ではどう表現するのでしょうか。
実は英語にも似たようなニュアンスの違いがあり、場面によって使う単語が変わります。
英語表現を知ることで、日本語の使い分けもより深く理解できるようになります。
「勧める」は recommend / suggest
「勧める」(行動を促す)を英語で表現する場合、主に「recommend」と「suggest」を使います。
recommend(レコメンド)の使い方
「recommend」は、自分の経験や知識に基づいて、相手に何かをするよう勧めるときに使います。比較的強い推奨のニュアンスがあります。
recommendの例文
- 「I recommend exercising every day.」(毎日運動することを勧めます)
- 「The doctor recommended that I quit smoking.」(医者に禁煙を勧められた)
- 「I recommend taking a break.」(休憩を取ることを勧めます)
- 「My teacher recommended studying abroad.」(先生に留学を勧められた)
suggest(サジェスト)の使い方
「suggest」は、提案や助言をするときに使います。「recommend」よりも柔らかく、控えめな勧め方です。
suggestの例文
- 「I suggest going to bed early.」(早く寝ることを提案します)
- 「She suggested taking a different route.」(彼女は別のルートを提案した)
- 「May I suggest a healthier option?」(より健康的な選択肢を提案してもいいですか?)
- 「He suggested that we start earlier.」(彼はもっと早く始めることを提案した)
recommendとsuggestの違い
単語 | 強さ | ニュアンス | 使う場面 |
---|---|---|---|
recommend | 強い | 確信を持った推奨 | 専門的な助言、経験に基づく勧め |
suggest | 弱い | 控えめな提案 | 気軽な提案、アイデアの提示 |
私が海外で友人に「I recommend this restaurant!」と言ったら、「そんなに強く勧めるなら絶対行かなきゃ!」と思われてしまいました。
軽く「良かったよ」程度なら「I suggest trying this restaurant」の方が適切だったかもしれません。
「薦める」は recommend / nominate の違い
「薦める」(人や物を推す)を英語で表現する場合、「recommend」に加えて「nominate」という単語も使います。
人や物を推すときの recommend
「recommend」は、行動を勧める以外に、商品や人を推薦する意味でも使えます。
recommendの例文(推薦)
- 「I recommend this book.」(この本を薦めます)
- 「Can you recommend a good restaurant?」(良いレストランを薦めてもらえますか?)
- 「I'd like to recommend John for the position.」(ジョンをそのポジションに薦めたい)
- 「This app is highly recommended.」(このアプリは強く薦められています)
nominate(ノミネート)の使い方
「nominate」は、特に正式な場面で人を推薦したり、候補者として指名したりするときに使います。
nominateの例文
- 「I nominate her for the award.」(彼女を賞の候補に薦めます)
- 「He was nominated as team leader.」(彼はチームリーダーに推薦された)
- 「The committee nominated three candidates.」(委員会は3人の候補者を推薦した)
- 「I'd like to nominate Tom for president.」(トムを会長に推薦したい)
recommendとnominateの違い
単語 | 使う対象 | フォーマル度 | 例 |
---|---|---|---|
recommend | 人・物・行動 | カジュアル〜フォーマル | レストラン、本、人材など |
nominate | 主に人 | フォーマル | 賞の候補、役職の推薦など |
使い分けのポイント
- 日常的な推薦→「recommend」
- 正式な候補者推薦→「nominate」
- 商品やサービス→「recommend」
- 賞や役職への推薦→「nominate」
実際、私が会社の英語研修で「I nominate this product」と言ってしまい、講師から「商品には nominateは使わないよ。recommendを使おう」と訂正されたことがあります。
nominateは人を正式な候補として推薦するときに限定して使うと覚えておきましょう。
使い分けのコツを例文で解説
英語の「勧める・薦める」表現を、具体的な場面別にまとめて見ていきましょう。
場面①:商品・サービスを勧めるとき
- 「I recommend this product.」(この商品を薦めます)
- 「I suggest trying our new service.」(新サービスを試すことを提案します)
- 「This restaurant is highly recommended.」(このレストランは強く薦められています)
日本語の「この商品を薦める」は英語で「recommend this product」となります。
場面②:行動を勧めるとき
- 「I recommend taking a rest.」(休むことを勧めます)
- 「I suggest leaving early.」(早めに出発することを提案します)
- 「The doctor recommended exercising regularly.」(医者は定期的な運動を勧めた)
日本語の「運動を勧める」は英語で「recommend exercising」です。
場面③:人を推薦するとき
- 「I recommend her for the job.」(彼女をその仕事に薦めます)
- 「I nominate him as our representative.」(彼を代表として推薦します)
- 「She was recommended by her supervisor.」(彼女は上司に薦められた)
日本語の「彼女を薦める」は、カジュアルなら「recommend」、正式なら「nominate」です。
日本語と英語の対応表
日本語 | 英語表現 | 使う単語 |
---|---|---|
運動を勧める | recommend exercising | recommend/suggest |
この本を薦める | recommend this book | recommend |
彼を候補に薦める | nominate him | nominate |
早寝を勧める | suggest going to bed early | suggest/recommend |
レストランを薦める | recommend a restaurant | recommend |
ビジネスメールでの表現例
英語のビジネスメールでよく使う表現をご紹介します。
- 「I would like to recommend this solution.」(この解決策を薦めたく思います)
- 「We highly recommend upgrading your plan.」(プランのアップグレードを強く勧めます)
- 「May I suggest an alternative approach?」(別のアプローチを提案してもよろしいでしょうか?)
- 「I am pleased to nominate Mr. Smith for this position.」(スミス氏をこのポジションに推薦できることを嬉しく思います)
覚え方のコツ
- 行動を促す→ recommend / suggest + 動詞ing
- 物を推す→ recommend + 名詞
- 人を正式に推薦→ nominate + 人
私がアメリカ留学中、ホストファミリーに「What do you suggest for dinner?」と聞かれ、「I suggest this restaurant」と答えたら、「Oh, you recommend it?」と聞き返されました。
後で分かったのですが、suggestだと「提案」程度、recommendだと「強く勧める」ニュアンスになるので、本当に良いと思うなら recommendを使った方が気持ちが伝わるんですね。
Q&A:「薦める」と「勧める」どちらを使う?
ここまで「薦める」と「勧める」の違いを解説してきましたが、実際の場面で「どっちだっけ?」と迷うことも多いですよね。
そこで最後に、よくある質問を3つピックアップして、具体的にどちらを使うべきか詳しく解説していきます。
「商品をすすめる」はどっち?
「商品をすすめる」という表現、ビジネスでもよく使いますが、実は文脈によって変わります。
基本的な考え方
- 商品そのものを「これが良い」と推す→「商品を薦める」
- 商品の購入という行動を促す→「購入を勧める」
具体的な使い分け例
「薦める」を使う場合
- 「この商品を薦めます」(商品自体を推している)
- 「お客様にこの新商品を薦めた」(商品を紹介)
- 「自信を持って薦められる商品です」(商品の推薦)
「勧める」を使う場合
- 「この商品の購入を勧めます」(購入という行動を促す)
- 「お客様に買い替えを勧めた」(買い替え行動を促す)
- 「定期購入を勧めています」(定期購入という行動を促す)
よくあるパターン
表現 | 正しい漢字 | 理由 |
---|---|---|
「この商品を○○します」 | 薦める | 商品という物を推す |
「商品購入を○○します」 | 勧める | 購入という行動を促す |
「新商品を○○したい」 | 薦める | 新商品を紹介する |
「買い替えを○○する」 | 勧める | 買い替え行動を促す |
実体験エピソード
私が販売員のアルバイトをしていたとき、店長から「お客様に商品を薦めて」と言われました。
でも実際の業務は「この商品いかがですか?」と購入を促すことだったので、正確には「購入を勧める」だったんですね。
ただ、商品自体の良さをアピールする意味では「薦める」も間違いではありません。
このように、営業・販売の場面では両方の意味が含まれることが多いです。
迷ったときの対処法
- 「商品を」だけなら→「薦める」
- 「購入を」「利用を」が入るなら→「勧める」
- どうしても迷ったら→ひらがなで「すすめる」
「友人に映画をすすめる」は?
友人との会話でよく使う「映画をすすめる」という表現。これはどちらでしょうか?
答えは「薦める」が正解
「友人に映画を薦める」が正しい表記です。
なぜなら、映画という「作品」を「これ面白いよ」と推しているからです。
詳しい解説
- 「この映画を薦める」→作品そのものを推薦
- 「この映画を見るよう勧める」→鑑賞という行動を促す
どちらも意味は似ていますが、ニュアンスが少し違います。
日常会話での使い分け
「薦める」パターン
- 「友人にこの映画を薦めた」(作品を紹介)
- 「おすすめの映画として薦める」(作品を推す)
- 「彼女に面白い映画を薦めたい」(作品の推薦)
「勧める」パターン
- 「友人に映画鑑賞を勧めた」(映画を見る習慣を促す)
- 「ストレス解消に映画を見ることを勧める」(行動を提案)
- 「週末は映画館に行くよう勧めた」(行動を促す)
SNSでの使用例
表現 | 正しい漢字 | 使用例 |
---|---|---|
「この映画超おすすめ!」 | 薦める | 「みんなに薦めたい映画」 |
「映画見に行こうよ」 | 勧める | 「友達に映画鑑賞を勧めた」 |
「今年のベスト映画」 | 薦める | 「心から薦められる作品」 |
同じように判断できる例
- 「本を薦める」「音楽を薦める」「アプリを薦める」
- 「ドラマを薦める」「ゲームを薦める」「レストランを薦める」
これらはすべて「物・作品」を推しているので「薦める」を使います。
私の失敗談
学生時代、友人に「このアニメ見ることを薦める!」とメッセージを送ったことがあります。
後で国語が得意な友人から「『このアニメを薦める』か『見るよう勧める』だよ」と指摘されました。
「~すること」という表現を使うと「勧める」になりやすいので注意が必要です。
「先生に本をすすめられた」は?
「先生に本をすすめられた」という表現、学校でよくありますよね。
これはどちらでしょうか?
答えは「薦められた」が正解
「先生に本を薦められた」が正しい表記です。
先生が本という「物」を「これを読むといいよ」と推薦しているからです。
詳しい解説
- 「本を薦められた」→本という物を紹介された
- 「本を読むよう勧められた」→読書という行動を促された
微妙な違いですが、「本を」という表現には「本という物」という意味が含まれています。
学校での使い分け例
「薦められた」パターン
- 「先生に参考書を薦められた」(本を紹介された)
- 「担任に大学を薦められた」(学校を推薦された)
- 「教授に論文を薦められた」(論文を紹介された)
「勧められた」パターン
- 「先生に読書を勧められた」(読書習慣を促された)
- 「担任に進学を勧められた」(進学という選択を促された)
- 「教授に研究を続けるよう勧められた」(継続を促された)
パターン別整理
表現 | 正しい漢字 | 補足 |
---|---|---|
「本を○○られた」 | 薦め | 本という物の推薦 |
「読書を○○られた」 | 勧め | 読書という行動の促進 |
「大学を○○られた」 | 薦め | 学校という物の推薦 |
「進学を○○られた」 | 勧め | 進学という行動の促進 |
「参考書を○○られた」 | 薦め | 参考書という物の推薦 |
「勉強を○○られた」 | 勧め | 勉強という行動の促進 |
よくある間違い例
❌「先生に本を勧められた」 ⭕「先生に本を薦められた」
❌「先生に読書を薦められた」 ⭕「先生に読書を勧められた」
実体験から学んだこと
高校時代、進路相談で担任に「○○大学を勧められた」と親に報告したら、父から「大学を勧めるって変じゃない?」と言われました。
調べてみると、確かに大学という「学校」を推薦されたので「薦められた」が正しかったんです。
でも「進学を勧められた」なら正解。
この経験から、「を」の後に来るのが「物・人」なのか「行動」なのかを意識するようになりました。
判断のコツまとめ
迷ったときは、以下のように言い換えてみましょう。
- 「推薦された」に言い換えられる→「薦められた」
- 「するよう促された」に言い換えられる→「勧められた」
例:「先生に本を(推薦された)」→「薦められた」が正解!
まとめ
「薦める」と「勧める」の違い、しっかり理解できましたか?最後にもう一度、重要なポイントをおさらいしましょう。
基本的な使い分けルール
- 「勧める」=行動を促す(「~しませんか?」「~した方がいいですよ」)
- 「薦める」=人や物を推す(「これがいいですよ」「この人がおすすめです」)
簡単な判断方法
迷ったときは、次の方法で判断してみましょう。
- 言い換えテスト
- 「提案する」「促す」に言い換えられる→「勧める」
- 「推薦する」「紹介する」に言い換えられる→「薦める」
- 助詞で判断
- 「○○を薦める」→物や人を推す
- 「○○するよう勧める」→行動を促す
- どうしても迷ったら
- ひらがなで「すすめる」と書いても間違いではありません
よく使う例文で確認
⭕「この本を薦める」(本という物を推す)
⭕「読書を勧める」(読書という行動を促す)
⭕「友人を薦める」(人を推薦する)
⭕「転職を勧める」(転職という行動を促す)
ビジネスシーンでの注意点
特にビジネスメールや正式な文書では、正しい使い分けが大切です。
間違えると恥ずかしい思いをすることもあるので、自信がないときは辞書で確認したり、ひらがな表記にしたりするのも一つの方法です。
日本語には同音異義語が多く、使い分けが難しいものもたくさんあります。
でも、今回ご紹介したポイントを押さえれば、「薦める」と「勧める」の使い分けはもう大丈夫!
日常会話からビジネスシーンまで、自信を持って正しく使いこなしてくださいね。
最後に一言
言葉は生き物です。使いながら少しずつ身につけていくものなので、間違いを恐れずにどんどん使っていきましょう。
この記事が、あなたの日本語力アップの一助になれば幸いです!