
「効果」と「効能」の違いって何だろう?と疑問に思ったことはありませんか?
温泉の「効能書き」や薬の説明文など、日常でよく見かける言葉ですが、いざ自分で使おうとすると迷ってしまう方も多いはずです。
私自身、言葉の使い分けに関する記事を執筆する中で、「効果と効能の違いがわからない」という声を数多く耳にしてきました。
結論:
- 「効果」は行動による結果・成果を表す。
- 「効能」は物や成分が持つ働き・性質を表す。
- 結果なら「効果」、働きなら「効能」を使えばOKです。
✅ この記事でわかること
- 「効果」と「効能」の意味と決定的な違い
- 場面別の正しい使い分け方
- すぐに使える具体的な例文
- 「効用」を加えた3つの言葉の比較
- クイズとQ&Aで使い分けを完全マスター
この記事では、比較表やクイズを使って「効果」「効能」「効用」の違いをわかりやすく解説しています。
もう迷わず使い分けられるよう、ぜひ最後までご覧ください。
「効果」と「効能」の違いとは?
「効果」と「効能」は、どちらも「何かが良い結果をもたらす」という意味で使われる言葉です。
しかし、この2つには明確な違いがあり、使い分けを間違えると文章が不自然になってしまいます。
ここでは、それぞれの意味と違いを比較表も交えてわかりやすく整理していきましょう。
「効果」の意味
「効果」とは、ある行動や働きかけによって生まれる結果や成果のことです。
何かをした後に「どうなったか」という変化を表す言葉として使われます。
たとえば、「毎日30分のウォーキングを続けたら、ダイエットの効果が出てきた」という文章では、ウォーキングという行動の結果として体重が減ったことを表しています。
「効果」の特徴をまとめると、次のようになります。
🔵 行動や施策の結果・成果を表す
🔵 薬・健康だけでなく、勉強・運動・ビジネスなど幅広い分野で使える
🔵 「逆効果」「効果なし」のようにマイナスの意味でも使える
🔵 「効果が出る」「効果を発揮する」「効果てきめん」などの表現が一般的
ちなみに、同僚が「プレゼン資料のデザインを変えたら、効果てきめんで契約が取れた」と喜んでいたことがあります。
このように、ビジネスシーンでも「効果」は日常的に使われている言葉です。
「効能」の意味
「効能」とは、ある物や成分がもともと持っている働きや性質のことです。
「効果」が結果を表すのに対し、「効能」はその物自体に備わっている力を指します。
たとえば、「この温泉には神経痛や冷え性を和らげる効能がある」という文章では、温泉の成分そのものが持っている力を表しています。
実際に入浴して症状が改善したかどうかではなく、「そういう働きがある」という性質を示しているのがポイントです。
「効能」の特徴をまとめると、次のようになります。
🟢 物や成分がもともと持っている働き・性質を表す
🟢 主に薬・温泉・漢方・サプリメント・食品など、体や健康に関わるものに使う
🟢 「逆効能」という言葉は存在せず、マイナスの意味では使わない
🟢 「効能がある」「効能を示す」「効能書き」などの表現が一般的
友人が温泉旅行に行った際、「効能書きを見て選んだ温泉に入ったら、肩こりが楽になった気がする」と話していました。
温泉施設でよく見かける「効能書き」は、その温泉が持つ働きを示したものです。
「効果」と「効能」の比較表
ここまで解説した「効果」と「効能」の違いを、比較表で整理してみましょう。
| 項目 | 効 果 | 効 能 |
|---|---|---|
| 意味 | 行動や働きかけによる結果・成果 | 物や成分が持つ働き・性質 |
| ポイント | 「何かをした後にどうなったか」を表す | 「その物が持っている力」を表す |
| 使う対象 | 幅広い分野(勉強・運動・ビジネス・薬など) | 主に薬・温泉・漢方・サプリ・食品など |
| マイナス表現 | ある(例:逆効果、効果なし) | ない |
| よく使う表現 | 効果が出る・効果を発揮する・効果てきめん | 効能がある・効能を示す・効能書き |
| 例文 | 「運動の効果で体重が減った」 | 「この薬には鎮痛の効能がある」 |
簡単に覚えるなら、「効果」は結果、「効能」は働きと押さえておくとわかりやすいでしょう。
✓ 効果 = 行動や働きかけによる「結果・成果」
✓ 効能 = 物や成分がもともと持っている「働き・性質」
✓ 効果は幅広い分野で使えるが、効能は主に薬・温泉・サプリなどに使う
✓ 効果はマイナス表現(逆効果)もあるが、効能にはない
「効果」と「効能」の使い分け方
「効果」と「効能」の意味がわかったところで、次は実際の使い分け方を見ていきましょう。
どちらを使うか迷ったときは、「結果を表したいのか」「働きを表したいのか」を考えるのがポイントです。
具体的な場面ごとに解説していきます。
「効果」を使う場面
「効果」は、何かの行動や働きかけによって結果や成果が出たときに使います。
幅広い分野で使える言葉なので、日常生活でも非常によく登場します。
具体的には、次のような場面で「効果」を使います。
🔵 ダイエットや運動:「筋トレの効果で体が引き締まった」
🔵 勉強や学習:「音読の効果で英語のリスニング力が上がった」
🔵 ビジネスや仕事:「新しい広告戦略の効果で売上が伸びた」
🔵 美容やスキンケア:「保湿クリームの効果で肌が潤った」
🔵 薬や治療:「薬の効果で熱が下がった」
このように、「○○をしたら△△になった」という因果関係を表すときに「効果」を使います。
知人がSNSで「朝活を始めたら仕事の効率が上がった。早起きの効果はすごい」と投稿していましたが、これも行動(早起き)の結果(効率アップ)を表しているので「効果」が正しい使い方です。
また、「効果」はマイナスの結果にも使えます。
「叱りすぎたら逆効果だった」「対策をしたが効果がなかった」のように、期待どおりにいかなかった場合にも使える点が「効能」との大きな違いです。
「効能」を使う場面
「効能」は、ある物や成分がもともと持っている働きや性質を表すときに使います。
「効果」よりも使う場面が限られており、主に体や健康に関わるものに対して使われます。
具体的には、次のような場面で「効能」を使います。
🟢 温泉:「この温泉には神経痛を和らげる効能がある」
🟢 薬・医薬品:「この薬の効能は解熱と鎮痛です」
🟢 漢方薬:「漢方薬の効能を確認してから服用する」
🟢 サプリメント:「ビタミンCには美肌の効能があるとされている」
🟢 ハーブやお茶:「カモミールティーにはリラックスの効能がある」
ポイントは、実際に結果が出たかどうかではなく、「そういう働きを持っている」という性質を表している点です。
以前、同僚が「温泉の効能書きに『肩こりに良い』と書いてあったから選んだ」と話していました。
温泉施設の入り口などに掲示されている「効能書き」は、その温泉の泉質が持つ働きを示したもので、「効果書き」とは言いません。
また、「効能」にはマイナスの表現がありません。
「逆効能」「効能がない」という言い方は不自然なので、マイナスの意味で使いたいときは「効果」を選びましょう。
「効果効能」とセットで使うケース
「効果」と「効能」は、「効果効能」とセットで使われることもあります。
この表現は、主に薬やサプリメント、化粧品などの分野でよく見かけます。
「効果効能」が使われる場面は、次のとおりです。
🟠 医薬品の説明:「この薬の効果効能は、頭痛・生理痛・発熱の緩和です」
🟠 サプリメントの紹介:「○○サプリの効果効能について解説します」
🟠 化粧品の広告:「この美容液の効果効能をご紹介」
🟠 健康食品のパッケージ:「効果効能には個人差があります」
なぜセットで使うのかというと、「効能」だけでは「働きがある」という意味にとどまり、「効果」だけでは「その物が持つ性質」を表せないからです。
両方を組み合わせることで、「この成分にはこういう働きがあり、その結果こうなる」という一連の流れを表現できます。
友人が健康食品を購入したとき、「パッケージに『効果効能には個人差があります』と書いてあった」と言っていました。
これは、成分の働き(効能)も実際の結果(効果)も人によって異なるという意味で、両方の言葉を使うことで正確な表現になっています。
ただし、日常会話で「効果効能」を使う機会は少なく、主に商品説明や公式な文書で見かける表現と覚えておくとよいでしょう。
「効果」と「効能」を使った例文
「効果」と「効能」の意味や使い分けを理解したら、実際の例文で確認してみましょう。
例文を読むことで、どのような文脈で使うのかがより具体的にイメージできます。
それぞれの言葉を使った例文を、場面別に紹介していきます。
「効果」の例文
「効果」は、行動や働きかけによる結果・成果を表すときに使います。
幅広い分野で使える言葉なので、さまざまな場面での例文を見てみましょう。
【ダイエット・運動】
- 毎日のウォーキングを3ヶ月続けたところ、ダイエットの効果が出て5キロ痩せた。
- ストレッチの効果で、肩こりがだいぶ楽になった。
【勉強・学習】
- 単語帳を繰り返し見る勉強法は、記憶の定着に効果がある。
- 英語のシャドーイングを続けた効果で、リスニング力が向上した。
【ビジネス・仕事】
- SNS広告の効果で、新商品の認知度が一気に上がった。
- 業務フローを見直した効果で、残業時間が大幅に減少した。
【美容・スキンケア】
- 新しい化粧水を使い始めてから、保湿の効果を実感している。
- 日焼け止めの効果で、シミができにくくなった。
【薬・治療】
- 処方された薬の効果で、2日で熱が下がった。
- 痛み止めの効果はすぐに現れたが、3時間ほどで切れてしまった。
【マイナスの表現】
- 厳しく注意しすぎたことが逆効果になり、部下のやる気を失わせてしまった。
- さまざまな対策を試したが、効果がなかった。
同僚が「プレゼンの前に深呼吸をする習慣をつけたら、緊張が和らいだ。呼吸法の効果って本当にあるんだね」と話していました。
このように、日常のちょっとした工夫の結果を表すときにも「効果」は使われます。
「効能」の例文
「効能」は、物や成分がもともと持っている働き・性質を表すときに使います。
主に薬・温泉・サプリメントなど、体や健康に関わるものに対して使われる例文を見てみましょう。
【温泉】
- この温泉には、神経痛や筋肉痛を和らげる効能がある。
- 入り口に掲示されている効能書きを見て、泉質を確認した。
- 硫黄泉には、肌を滑らかにする効能があるとされている。
【薬・医薬品】
- この風邪薬の効能は、発熱・頭痛・鼻水の緩和です。
- 購入前に、薬の効能と副作用をしっかり確認した。
- 漢方薬には、体質を根本から改善する効能があるといわれている。
【サプリメント・健康食品】
- ビタミンCには、肌の調子を整える効能があるとされている。
- このサプリメントの効能は、疲労回復と免疫力の向上です。
- 健康食品の効能を過信しすぎないことが大切だ。
【ハーブ・お茶】
- カモミールティーには、リラックスを促す効能がある。
- 生姜には体を温める効能があり、冷え性の人におすすめだ。
- ルイボスティーには、抗酸化作用の効能が期待されている。
【その他】
- この入浴剤には、血行促進の効能があると記載されていた。
- アロマオイルには、それぞれ異なる効能がある。
友人が旅行先で「効能書きに『美肌の湯』と書いてあったから、この温泉を選んだんだ」と言っていました。
温泉の効能は泉質によって異なるため、効能書きを参考に選ぶ人は多いようです。
「効果」「効能」「効用」の違いを比較
「効果」と「効能」の違いを調べていると、「効用」という言葉も一緒に出てくることがあります。
この3つは似ているようで、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。
ここでは「効用」の意味を解説し、3つの言葉の違いを早見表で整理していきましょう。
「効用」の意味とは?
「効用」とは、ある物や行動が役に立つことや使い道を表す言葉です。
「効果」や「効能」と似ていますが、「効用」は実際に役立っているかどうかというニュアンスが強い点が特徴です。
たとえば、「読書の効用は語彙力の向上だ」という文章では、読書という行動が「語彙力を上げる」という形で役に立っていることを表しています。
「効用」の特徴をまとめると、次のようになります。
🟣 役に立つこと・使い道を表す
🟣 「効果」「効能」よりも抽象的・概念的なニュアンスがある
🟣 経済学では「満足度」を表す専門用語としても使われる
🟣 「効用がある」「効用を説く」「効用を見出す」などの表現が一般的
🟣 日常会話ではあまり使われず、文章や論説で見かけることが多い
以前、上司が会議で「朝礼の効用について改めて考えてみよう」と話していました。
この場合、朝礼という習慣が「どのように役立っているか」を検討するという意味で「効用」が使われています。
「効果」でも意味は通じますが、「効用」を使うことでより堅い印象になります。
また、経済学では「効用」は特別な意味を持ち、商品やサービスから得られる満足度・充足感を指します。
「限界効用逓減の法則」のように、専門用語としても使われる言葉です。
日常生活で「効用」を使う機会は少ないですが、「役に立つこと」を表現したいときや、少しかしこまった文章を書くときに覚えておくと便利です。
3つの言葉の使い分け早見表
「効果」「効能」「効用」の違いを、早見表で整理してみましょう。
それぞれの意味と使う場面を比較すると、違いがはっきりとわかります。
| 項目 | 効 果 | 効 能 | 効 用 |
|---|---|---|---|
| 意味 | 行動や働きかけによる結果・成果 | 物や成分が持つ働き・性質 | 役に立つこと・使い道 |
| ポイント | 「どうなったか」という結果 | 「どんな力があるか」という性質 | 「何の役に立つか」という価値 |
| 使う対象 | 幅広い分野 | 主に薬・温泉・サプリなど | 抽象的な概念・習慣・行動など |
| 使う場面 | 日常会話からビジネスまで幅広い | 健康・医療分野が中心 | 文章・論説・経済学など |
| マイナス表現 | ある(逆効果など) | ない | ほぼない |
| 例文 | 「運動の効果で痩せた」 | 「温泉の効能は神経痛に良い」 | 「読書の効用は知識の習得だ」 |
使い分けのコツを簡単にまとめると、次のようになります。
🔵 効果:結果が出たことを伝えたいとき → 「○○したら△△になった」
🟢 効能:物が持つ働きを伝えたいとき → 「○○には△△の力がある」
🟣 効用:役立つことを伝えたいとき → 「○○は△△に役立つ」
友人が「効果・効能・効用の違いがやっとわかった。効果は結果、効能は働き、効用は役立つことだね」と言っていましたが、まさにそのとおりです。
迷ったときは、この3つのキーワードを思い出すと使い分けやすくなります。
✓ 効果 = 「結果」(○○したら△△になった)
✓ 効能 = 「働き」(○○には△△の力がある)
✓ 効用 = 「役立つこと」(○○は△△に役立つ)
【クイズ】「効果」・「効能」・「効用」の使い分け
ここまで「効果」「効能」「効用」の違いを解説してきました。
では、実際に使い分けができるかどうか、クイズで確認してみましょう。
それぞれの文章に当てはまる言葉を考えてみてください。
答えと解説は各問題の下にあります。
第1問
【問題】 次の( )に入る言葉として、最も適切なものはどれでしょうか?
「毎朝のジョギングを続けたところ、ダイエットの( )が出て3キロ痩せた。」
- A:効果
- B:効能
- C:効用
【答え】
A:効果
【解説】
この文章は、「ジョギングを続けた」という行動の結果として「3キロ痩せた」ことを表しています。
行動による結果・成果を表すときは「効果」を使います。
「効能」は物や成分が持つ働きを表す言葉なので、ここでは不適切です。
「効用」も意味としては通じますが、「ダイエットの効用」という表現は一般的ではありません。
第2問
【問題】 次の( )に入る言葉として、最も適切なものはどれでしょうか?
「この温泉には、冷え性や肩こりを和らげる( )がある。」
- A:効果
- B:効能
- C:効用
【答え】
B:効能
【解説】
この文章は、温泉という物がもともと持っている働きを表しています。
温泉の泉質が持つ性質を示すときは「効能」を使うのが自然です。
実際に温泉施設の「効能書き」でも、この表現が使われています。
「効果」は結果を表す言葉なので、「温泉に入った結果、肩こりが治った」という文脈なら使えますが、この文章では「効能」が適切です。
第3問
【問題】 次の( )に入る言葉として、最も適切なものはどれでしょうか?
「読書の( )は、語彙力の向上や想像力の発達など多岐にわたる。」
- A:効果
- B:効能
- C:効用
【答え】
C:効用
【解説】
この文章は、読書という行動が役に立つこと・使い道を説明しています。
「読書は○○に役立つ」という価値を表すときは「効用」が最も適切です。
「効果」でも意味は通じますが、「効用」を使うことで「読書が持つさまざまな価値」というニュアンスがより明確になります。
「効能」は主に薬や温泉など体に関わるものに使う言葉なので、ここでは不自然です。
第4問
【問題】 次の( )に入る言葉として、最も適切なものはどれでしょうか?
「この薬の( )は、頭痛・生理痛・発熱の緩和です。」
- A:効果
- B:効能
- C:効用
【答え】
B:効能
【解説】
この文章は、薬という物が持っている働き・性質を説明しています。
薬のパッケージや説明書に書かれている内容は、その薬が持つ力を示しているので「効能」を使います。
実際に薬を飲んで「熱が下がった」という結果を表すときは「効果」を使いますが、薬そのものの働きを説明するときは「効能」が適切です。
第5問
【問題】 次の( )に入る言葉として、最も適切なものはどれでしょうか?
「厳しく叱りすぎたことが( )になり、子どもがますます言うことを聞かなくなった。」
- A:逆効果
- B:逆効能
- C:逆効用
【答え】
A:逆効果
【解説】
「逆効果」は、期待とは反対のマイナスの結果が出たことを表す言葉です。
「効果」はプラスにもマイナスにも使えるため、「逆効果」という表現が成り立ちます。
一方、「効能」や「効用」にはマイナスの表現がなく、「逆効能」「逆効用」という言葉は存在しません。
マイナスの結果を表したいときは「効果」を使うと覚えておきましょう。
第6問
【問題】 次の( )に入る言葉として、最も適切なものはどれでしょうか?
「新しい広告戦略を導入した( )で、売上が前月比30%アップした。」
- A:効果
- B:効能
- C:効用
【答え】
A:効果
【解説】
この文章は、「広告戦略を導入した」という行動の結果として「売上が30%アップした」ことを表しています。
ビジネスシーンでの成果や結果を表すときは「効果」を使います。
「効能」は主に薬や温泉など健康に関わるものに使う言葉なので、ビジネスの文脈では不自然です。
「効用」は役立つことを表しますが、具体的な数値の結果を示すこの文章では「効果」が最も適切です。
「効果」・「効能」・「効用」に関するQ&A
「効果」「効能」「効用」について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
それぞれの言葉の使い分けに迷ったときや、もっと詳しく知りたいときの参考にしてください。
温泉の「効能」と「効果」の違いは?
【質問】 温泉では「効能」と「効果」のどちらを使えばいいですか?
【回答】 温泉の場合、泉質が持つ働きを表すときは「効能」、実際に入浴して得られた結果を表すときは「効果」を使います。
具体的な使い分けは、次のとおりです。
🟢 効能:「この温泉には神経痛を和らげる効能がある」(泉質の働き)
🔵 効果:「温泉に入った効果で、肩こりが楽になった」(入浴の結果)
温泉施設の入り口などに掲示されている「効能書き」は、その温泉の泉質がもともと持っている働きを示したものです。
「効果書き」とは言わないので注意しましょう。
友人が温泉旅行から帰ってきたとき、「効能書きを見て選んだ温泉に毎日入ったら、本当に肌がすべすべになった」と喜んでいました。
この場合、「効能書きを見て選んだ」は泉質の働き、「肌がすべすべになった」は入浴の結果なので、両方の言葉が自然に使われています。
薬やサプリの「効能」「効果」はどう違う?
【質問】 薬やサプリメントでは「効能」と「効果」をどう使い分ければいいですか?
【回答】 薬やサプリメントの場合も、その成分が持つ働きを表すときは「効能」、服用して得られた結果を表すときは「効果」を使います。
具体的な使い分けは、次のとおりです。
- 🟢 効能:「この薬の効能は、頭痛・発熱の緩和です」(成分の働き)
- 🔵 効果:「薬を飲んだ効果で、熱が下がった」(服用の結果)
薬のパッケージや説明書に書かれている「効能・効果」の欄は、その薬が持つ働きと期待される結果の両方を示しています。
医薬品では「効能」と「効果」をセットで「効能効果」と表記することが多いのも特徴です。
同僚が風邪をひいたとき、「薬の効能を確認してから買ったら、すぐに効果が出て助かった」と言っていました。
購入前に確認するのは「効能」(薬の働き)、服用後に実感するのは「効果」(結果)と覚えておくとわかりやすいでしょう。
「効果」と「効能」の英語表現は?
【質問】 「効果」と「効能」は英語でどう表現しますか?
【回答】 「効果」と「効能」は、英語では次のように表現されます。ただし、日本語ほど明確に区別されないことも多いです。
「効果」の英語表現
🔵 effect:最も一般的な表現。「The effect of the medicine was immediate.(薬の効果はすぐに現れた)」
🔵 result:結果という意味で使う場合。「The result of the training was remarkable.(トレーニングの効果は目覚ましかった)」
🔵 impact:影響・インパクトという意味を強調する場合。「The advertising had a big impact on sales.(広告は売上に大きな効果があった)」
「効能」の英語表現
🟢 efficacy:薬や治療法の効き目を表す専門的な表現。「The efficacy of this drug has been proven.(この薬の効能は証明されている)」
🟢 virtue:物が持つ良い性質・効き目を表す表現。「The virtue of this herb is relaxation.(このハーブの効能はリラックス作用だ)」
🟢 benefit:利点・恩恵という意味で使う場合。「The health benefits of green tea(緑茶の健康上の効能)」
日常会話では「effect」が幅広く使われますが、医療や科学の分野では「efficacy」が「効能」に近いニュアンスで使われます。
「効果的」と「効能的」は両方使える?
【質問】 「効果的」という言葉はよく聞きますが、「効能的」という言葉はありますか?
【回答】 「効果的」は一般的に使われる言葉ですが、「効能的」という言葉は存在しません。
「効果的」の意味と使い方は、次のとおりです。
🔵 意味:効果があるさま、効き目が大きいさま
🔵 例文:「この勉強法はとても効果的だ」「効果的な広告戦略を考える」
🔵 類語:有効、効率的、効き目がある
一方、「効能」は物や成分が持つ働きを表す名詞であり、「〜的」をつけて形容動詞にする使い方はしません。
「効能がある」「効能を示す」のように、名詞として使うのが正しい用法です。
知人が「この方法は効能的だ」と言っていたことがありましたが、これは誤用です。
正しくは「この方法は効果的だ」または「この成分には効能がある」と表現します。
似たような言葉に「効率的」がありますが、これは「効率」+「的」で成り立っている別の言葉です。
「効果的」と「効率的」を混同しないように注意しましょう。
「効用」はどんな場面で使う?
【質問】 「効用」は日常であまり聞きませんが、どんな場面で使いますか?
【回答】 「効用」は、日常会話ではあまり使われませんが、文章や論説、経済学の分野でよく登場する言葉です。
「効用」が使われる場面は、次のとおりです。
🟣 習慣や行動の価値を説明するとき:「朝活の効用について考える」「読書の効用は計り知れない」
🟣 抽象的な概念の利点を述べるとき:「対話の効用を見直すべきだ」「失敗の効用を学ぶ」
🟣 経済学の専門用語として:「限界効用逓減の法則」「効用最大化」
日常会話では「効果」を使うことが多いですが、「効用」を使うと少し堅く、知的な印象になります。
論文やビジネス文書、新聞記事などで見かけることが多い表現です。
以前、上司が「朝礼の効用を改めて考えてみよう」と会議で発言していました。
この場合、「朝礼がどのように役立っているか」という価値を検討する意味で「効用」が使われています。
「効果」でも通じますが、「効用」を使うことでより深く考察している印象を与えます。
経済学では「効用」は特別な意味を持ち、商品やサービスから得られる満足度・充足感を指します。
「効果」「効能」「効用」の類語・言い換えは?
【質問】 「効果」「効能」「効用」の類語や言い換え表現を教えてください。
【回答】 それぞれの言葉には、似た意味を持つ類語や言い換え表現があります。文脈に応じて使い分けると、表現の幅が広がります。
「効果」の類語・言い換え
🔵 成果:努力や行動の結果として得られたもの。「練習の成果が出た」
🔵 結果:ある原因から生じたもの。「実験の結果が出た」
🔵 効き目:薬などが作用すること。「薬の効き目が現れた」
🔵 影響:他に作用を及ぼすこと。「運動が体に良い影響を与えた」
「効能」の類語・言い換え
🟢 薬効:薬が持つ効き目。「この漢方の薬効は穏やかだ」
🟢 効き目:効果と同様に使える。「この温泉は効き目がある」
🟢 作用:物が他に働きかけること。「鎮痛作用がある」
🟢 働き:物が持つ機能。「ビタミンCの働き」
「効用」の類語・言い換え
🟣 有用性:役に立つ性質。「読書の有用性を説く」
🟣 利点:有利な点。「朝活の利点を紹介する」
🟣 メリット:利益・長所。「この方法のメリットは多い」
🟣 価値:役に立つ度合い。「対話の価値を見直す」
同僚が「報告書を書くとき、同じ言葉ばかり使うと単調になるから、類語を覚えておくと便利だよ」と教えてくれました。
状況に応じて言い換え表現を使い分けると、文章がより読みやすくなります。
まとめ
「効果」と「効能」は似ている言葉ですが、意味には明確な違いがあります。
「効果」は行動や働きかけによる結果・成果を表し、ダイエットやビジネスなど幅広い分野で使えます。
一方、「効能」は物や成分が持つ働き・性質を表し、主に薬・温泉・サプリメントなど健康に関わるものに使います。
また、「効用」は役に立つこと・使い道を表す言葉で、文章や論説で使われることが多いです。
迷ったときは、「効果=結果」「効能=働き」「効用=役立つこと」と覚えておくと使い分けやすくなります。
この記事を参考に、ぜひ正しく使い分けてみてください。









