「最後」と「最期」の違いは?意味・使い方の違いを辞書比較と例文5選で徹底解説

「最後」と「最期」、どちらも「さいご」と読む言葉ですが、使い分けに迷ったことはありませんか?

特に弔辞やお悔やみの文章を書くとき、「この場面ではどちらの漢字が正しいんだろう…」と悩む方は多いのではないでしょうか。

結論からいうと、「最後」は物事の終わり全般に使える言葉で、「最期」は人や動物の命が終わるときだけに使う言葉です。

つまり、「最期」は「最後」の中でも、命に関わる場面に限定して使われる特別な言葉なのです。

この記事では、「最後」と「最期」の意味の違いを、3つの辞書を比較しながらわかりやすく解説します。

さらに、実際の使い分けがわかる例文5選やクイズも用意しました。

読み終わるころには、弔辞やビジネス文書でも迷わず正しい漢字を選べるようになりますよ。

目次

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「最後」と「最期」の違いとは?

まずは「最後」と「最期」の違いお伝えします。

細かい意味や使い方は後ほど詳しく解説しますので、ここではイメージをつかんでください。

一言でいうと「終わり全般」と「命の終わり」の違い

「最後」と「最期」の一番大きな違いは、使える範囲の広さです。

「最後」は、あらゆる物事の終わりに使えます。

たとえば、「最後の一口」「最後のチャンス」「最後の授業」のように、日常のさまざまな場面で使える万能な言葉です。

一方で「最期」は、使える場面がとても限られています。

人や動物の命が終わるとき、つまり「死」に関わる場面でのみ使います。

「最期を看取る」「最期の言葉」のように、命の終わりという重みのある場面で使うのが特徴です。

私の知人が、祖母の葬儀で弔辞を読むことになったとき、「最後の別れ」と書くべきか「最期の別れ」と書くべきか迷ったそうです。

結論としては、祖母が息を引き取る瞬間を指すなら「最期」、葬儀という最終の別れの場を指すなら「最後」が適切。

このように、同じ「さいご」でも、何を指しているかによって漢字が変わるのです。

「最後」と「最期」の違い比較表

2つの違いを表にまとめました。

比較項目 最後 最期
意味 物事の終わり、一番あと 命の終わり、死に際
使える場面 あらゆる物事の終わりに使える 人や動物の死に関わる場面のみ
日常会話での使用 頻繁に使う ほとんど使わない
言い換え 終わり、ラスト、終盤 臨終、死に際、末期
ニュアンス 日常的で軽い〜重いまで幅広い 厳粛で重みのある表現
最後の一人、最後まで頑張る 最期を看取る、最期の言葉

このように並べてみると、「最期」は「最後」の中でも命に関わる特別な場面だけに使う言葉だとわかりますね。

迷ったときは「命に関係するかどうか」を考えると、正しい漢字を選びやすくなります。

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「最後」の意味と使い方

まずは「最後」という言葉について、辞書での定義から使われる場面、関連表現まで詳しく見ていきましょう。

「最後」の辞書的な意味

「最後」を辞書で引くと、次のような意味が載っています。

デジタル大辞泉(小学館)
1 物事のいちばんあと、または後ろ。いちばん終わり。最終。
2 (「…たら最後」「…が最後」の形で)それで終わりで、あとはどうにもならない意を表す。

goo国語辞書
物事のいちばんあと、または後ろ。いちばん終わり。最終。⇔最初

どちらの辞書にも共通しているのは、「物事の終わり」「いちばんあと」という意味です。

「最後」は対義語が「最初」であることからもわかるように、あらゆる物事の終わりを表す汎用的な言葉です。

また、「食べたら最後、止まらない」のように、「一度〇〇したらもう後戻りできない」という慣用的な使い方もあります。

「最後」が使われる場面

「最後」は、日常生活からビジネスまで、本当に幅広い場面で使われます。

🔹 日常生活での「最後」

  • 「冷蔵庫の卵、最後の1個だよ」
  • 「列の最後に並んでください」
  • 「この映画、最後まで見た?」
  • 「最後にもう一度確認しよう」

🔹 ビジネス・仕事での「最後」

  • 「最後のチャンスを逃さないように」
  • 「プレゼンの最後にまとめを入れる」
  • 「締め切りまで最後の追い込みだ」
  • 「最後までやり遂げる」

🔹 時間・順序を表す「最後」

  • 「今日が夏休み最後の日だ」
  • 「50音の最後は『ん』です」
  • 「本の最後のページを読む」

このように「最後」は、食べ物の残り、列の順番、映画の結末、仕事の締めくくりなど、あらゆる「終わり」に使える万能な言葉です。日常会話でも頻繁に登場しますね。

「最後」を使った表現・熟語

「最後」を含む表現や熟語をまとめました。

日常でよく見かけるものばかりです。

表現・熟語 意味
最後まで 終わりの時点まで、途中で諦めずに
最後の最後 本当の終わり、ぎりぎりの最終段階
最後に 終わりに、締めくくりとして
〜たら最後 一度そうなったら、もう後戻りできない
最後の砦(とりで) 最終的に頼りになるもの、最終手段
最後通牒(つうちょう) 交渉における最終的な要求・条件
最後の晩餐(ばんさん) キリストが処刑前に弟子と囲んだ食事。転じて、最後の食事

ちなみに、同僚が「この案件、最後の最後で引っくり返された」と嘆いていたことがあります。

「最後の最後」という表現は、単なる「最後」よりもさらに終盤、ギリギリのタイミングを強調したいときに使いますね。

日常会話でもビジネスでもよく耳にする表現です。

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「最期」の意味と使い方

続いて「最期」について見ていきましょう。

「最後」と比べると、使われる場面がかなり限定されていることがわかります。

「最期」の辞書的な意味

「最期」を辞書で引くと、次のような意味が載っています。

デジタル大辞泉(小学館)
命の終わるとき。死にぎわ。臨終。末期(まつご)。

精選版 日本国語大辞典
(「ご」は「期」の呉音)命の終わる時期。死ぬ時。死にぎわ。臨終。末期(まつご)。最後。

どちらの辞書にも共通しているのは、「命の終わるとき」「死にぎわ」「臨終」という説明です。

「最期」は「最後」と違い、人や動物の命が終わる瞬間だけに使われる言葉なのです。

漢字の「期」には「時期」「期限」のように「決まった時」という意味があります。

「最期」は「命の最も終わりの時期」、つまり「死を迎えるその時」を指す言葉として使われてきました。

「最期」が使われる場面

「最期」は、日常会話ではほとんど使いません。

主に以下のような場面で登場します。

🔹 人の死に関わる場面

  • 「祖父の最期を看取ることができた」
  • 「最期の言葉を聞きたかった」
  • 「穏やかな最期だったと聞いて安心した」
  • 「最期まで家族に囲まれていた」

🔹 歴史上の人物・物語の死を描く場面

  • 「織田信長の壮絶な最期」
  • 「英雄は勇敢な最期を遂げた」
  • 「物語の主人公は静かな最期を迎えた」

🔹 文明・国家の終焉を表す場面

  • 「ローマ帝国の最期」
  • 「古代文明の最期を描いた映画」
  • 「その王朝は劇的な最期を迎えた」

「最期」が付く表現には、どれも「命」や「存在そのものの終わり」という重みがあります。

友人が「おじいちゃんの最期に間に合わなかった」と話していたことがありましたが、この「最期」は「亡くなるその瞬間」を指しています。

「最後」では表現できない、命の重さを感じる言葉ですね。

「最期」を使った表現・熟語

「最期」を含む表現や熟語をまとめました。

弔辞や追悼文など、改まった場面で使われることが多い言葉です。

表現・熟語 意味
最期を看取る(みとる) 死に際まで見守り、息を引き取るのを見届ける
最期を遂げる(とげる) 死ぬ、亡くなる(やや文語的な表現)
最期の言葉 亡くなる直前に残した言葉、遺言
最期の時 命が尽きる瞬間、臨終の時
最期の瞬間 息を引き取るまさにその瞬間
壮絶な最期 激しく劇的な死に様
安らかな最期 穏やかで苦しみのない死

表を見てわかるように、「最期」を使った表現はすべて「命の終わり」に関係しています。

「立派な最期を遂げた」「安らかな最期だった」のように、どのような死を迎えたかを表現するときに「最期」が使われます。

「最後」が単なる終わりを表すのに対し、「最期」はその人の人生の締めくくり方、死に様までも含んだ言葉なのです。

【辞書比較】3つの辞書で「最後」と「最期」を調べてわかったこと

ここでは、複数の辞書を比較することで「最後」と「最期」の違いをより深く掘り下げてみます。

辞書によって説明の仕方が微妙に異なるため、比較することで言葉のニュアンスがより明確になります。

広辞苑・大辞林・明鏡国語辞典での比較

今回、「最後」と「最期」の違いを調べるために、デジタル大辞泉(小学館)、精選版 日本国語大辞典、goo類語辞書の3つを比較しました。

▼「最後」の辞書比較

辞書名 「最後」の説明
デジタル大辞泉 物事のいちばんあと、または後ろ。いちばん終わり。最終。⇔最初
精選版 日本国語大辞典 物事のいちばん終わり。最終。終末。
goo類語辞書 類語として「終わり」「最終」「終局」「ラスト」などが挙げられる

▼「最期」の辞書比較

辞書名 「最期」の説明
デジタル大辞泉 命の終わるとき。死にぎわ。臨終。末期(まつご)。
精選版 日本国語大辞典 (「ご」は「期」の呉音)命の終わる時期。死ぬ時。死にぎわ。臨終。末期(まつご)。最後。
goo類語辞書 生命が終わる時のほか、生命が終わる時のその人の状態をも表す。「安らかな最期」のような言い方ができる。人間以外の動物や、抽象的なものごとにも用いられる。

辞書比較から見えた共通点と違い

3つの辞書を比較してみると、いくつかの共通点と違いが浮かび上がってきました。

【共通点】

どの辞書でも、「最後」と「最期」には次のような共通点があります。

  • どちらも「さいご」と読み、「終わり」を意味する
  • 「最期」の説明には、すべての辞書で「命」「死」「臨終」という言葉が使われている
  • 「最後」は対義語として「最初」が挙げられ、一般的な終わりを指す

【違い】

一方で、次のような違いも見えてきました。

  • 「最後」は使用範囲が広い:どの辞書でも「物事の終わり全般」を指すと説明されている
  • 「最期」は使用範囲が限定的:すべての辞書で「命の終わり」に特化した説明になっている
  • 「最期」は状態も表せる:goo類語辞書では「安らかな最期」のように、死に際の状態を表現できると説明されている
  • 「最期」は抽象的なものにも使える:「幕藩体制の最期」のように、国や文明の滅亡にも使われる

【比較から得られた結論】

3つの辞書を比較した結果、「最後」と「最期」の違いは次のように整理できます。

ポイント 最後 最期
基本の意味 物事の終わり全般 命の終わり、死に際
使用範囲 日常のあらゆる場面で使える 命・死に関わる場面に限定
対義語 最初 出生、誕生
表せる内容 終わりの時点・順番 死に際の時期と状態
抽象的な使用 イベントや出来事の終わり 国家・文明などの滅亡

このように辞書を比較してみると、「最期」は単なる「終わり」ではなく、命や存在が消えるという重みを持った言葉だとわかります。

「最後」で代用できる場面も多いですが、「最期」を使うことで、命の終わりに対する敬意や厳粛さを表現できるのです。

「最後」と「最期」の例文5選

ここまで「最後」と「最期」の意味や違いを解説してきましたが、実際の使い方がイメージしにくいという方も多いでしょう。

そこで、具体的な例文を5つご紹介します。

場面ごとの使い分けを確認していきましょう。

例文①:日常生活での「最後」

まずは、日常生活でよく使う「最後」の例文です。

例文:

  • 「このケーキ、最後の一切れだけど食べていいよ」
  • 「電車の最後の車両に乗ろう」
  • 「映画の最後のシーンで泣いてしまった」

ポイント:
食べ物の残り、列の順番、映画の結末など、日常のあらゆる「終わり」には「最後」を使います。

命に関係しない場面では、基本的に「最後」と覚えておけば間違いありません。

例文②:ビジネスでの「最後」

次は、仕事やビジネスシーンで使う「最後」の例文です。

例文:

  • 「プレゼンの最後に質疑応答の時間を設けています」
  • 最後まで諦めずに交渉を続けた結果、契約が取れました」
  • 「このプロジェクトは私にとって退職前最後の仕事です」

ポイント:
ビジネスシーンでも「最後」は頻繁に登場します。

プレゼンの締めくくり、仕事の終盤、退職前の最終案件など、物事の終わりを表す場面で使います。

「最期」が出てくる場面はほとんどありません。

例文③:人生の「最期」

ここからは「最期」の例文です。まずは人の死に関わる場面を見てみましょう。

例文:

  • 「祖母は家族に囲まれて穏やかな最期を迎えました」
  • 「父の最期の言葉は『ありがとう』でした」
  • 最期まで自分らしく生きたいと思っています」

ポイント:
人の命が終わる場面では「最期」を使います。

「穏やかな最期」「最期の言葉」のように、死に際の状態や、亡くなる直前の様子を表すときに使う言葉です。

「最後」では表現できない、命の重みを感じさせる表現ですね。

例文④:看取りの場面での「最期」

看取りや介護、医療の現場で使われる「最期」の例文です。

例文:

  • 「母の最期を看取ることができて、本当によかった」
  • 最期の時は苦しまずに逝ってほしいと願っています」
  • 「祖父は眠るような最期だったと聞いて安心しました」

ポイント:
「最期を看取る」は、死に際まで見守り、息を引き取るのを見届けることを意味します。

弔辞やお悔やみの場面でもよく使われる表現です。

「眠るような最期」「安らかな最期」のように、どのような死を迎えたかを表現するときに「最期」が使われます。

例文⑤:「最後」と「最期」を使い分ける場面

最後に、同じような場面で「最後」と「最期」を使い分ける例を見てみましょう。

▼ 入院中の祖父について話すとき

表現 例文 ニュアンス
最後 「祖父に会った最後の日は、先週の日曜日でした」 会った中で一番最近の日、という時間的な終わり
最期 「祖父の最期に立ち会うことができました」 祖父が息を引き取るその瞬間に居合わせた

▼ 大切な人との別れを表現するとき

表現 例文 ニュアンス
最後 「彼女との最後のデートは思い出深いものだった」 付き合っていた期間で一番最後のデート(別れを指す)
最期 「彼女の最期を見届けることができなかった」 彼女が亡くなる瞬間に立ち会えなかった

このように、同じ「さいご」でも、何を指しているかによって漢字が変わります

「時間的・順序的な終わり」なら「最後」、「命の終わり」なら「最期」と覚えておくと、迷わず使い分けられますね。

【クイズ】「最後」と「最期」正しいのはどっち?

ここまでの内容を理解できたか、クイズで確認してみましょう。

それぞれの場面で「最後」と「最期」のどちらが適切か、考えてみてください。

第1問:映画のラストシーン

【問題】
友人から「あの映画の(  )のシーン、感動したよね」と言われました。

(  )に入るのは「最後」「最期」どちらでしょう?

【答え】最後

【解説】
映画のラストシーン、つまり「物語の終わり」を指すので「最後」を使います。

たとえ登場人物が亡くなるシーンであっても、「映画のシーン」という作品の一部を指す場合は「最後」が適切です。

「最期」を使うと、まるで映画そのものが死んだような不自然な表現になってしまいます。

第2問:祖父を見送る場面

【問題】
弔辞で「祖父の(  )は、家族に囲まれた穏やかなものでした」と書こうとしています。

(  )に入るのは「最後」「最期」どちらでしょう?

【答え】最期

【解説】
祖父が息を引き取るその瞬間、つまり「命の終わり」を指すので「最期」を使います。

「穏やかな最期」「安らかな最期」のように、亡くなり方・死に際の状態を表すときは「最期」が適切です。

弔辞やお悔やみの文章では、この使い分けが重要になります。

第3問:試験の終了間際

【問題】
試験中、先生が「(  )まで諦めずに頑張ってください」と声をかけました。

(  )に入るのは「最後」「最期」どちらでしょう?

【答え】最後

【解説】
試験時間の終わり、つまり「時間的な終わり」を指すので「最後」を使います。

命に関係しない日常的な場面では、基本的に「最後」を使うと覚えておきましょう。

もし先生が「最期まで頑張って」と言ったら、生徒たちはギョッとしてしまいますね。

第4問:闘病中の友人への手紙

【問題】
長い闘病生活の末に亡くなった友人のご家族へ手紙を書いています。

「〇〇さんの(  )の日々を支え続けたご家族の皆様に、心より敬意を表します」と書く場合、(  )に入るのは「最後」「最期」どちらでしょう?

【答え】最期

【解説】
友人の人生の終わり、命が尽きるまでの日々を指すので「最期」を使います。

「最期の日々」という表現は、亡くなるまでの期間を敬意を込めて表現するときに使われます。

お悔やみの手紙では、「最後」ではなく「最期」を使うことで、故人への敬意が伝わります。

【クイズのまとめ】

問題 場面 答え 判断のポイント
第1問 映画のラストシーン 最後 作品・物語の終わり → 最後
第2問 祖父を見送る場面 最期 人の死・命の終わり → 最期
第3問 試験の終了間際 最後 時間的な終わり → 最後
第4問 闘病中の友人への手紙 最期 人生の終わり・死に関わる → 最期

いかがでしたか?迷ったときは「命に関係するかどうか」を基準に考えると、正しい漢字を選びやすくなりますよ。

「最後」「最期」に関するQ&A

「最後」と「最期」について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。

紛らわしい表現や、実際に使う場面での判断基準も解説していますので、参考にしてください。

Q1. 「最後の時」と「最期の時」はどう違う?

A. 「最後の時」は物事の終わりの時、「最期の時」は命が尽きる時を指します。

この2つは、指している「時」の内容がまったく異なります。

表現 意味 例文
最後の時 物事が終わる時、最終段階 「試合の最後の時まで全力で戦った」
最期の時 命が終わる時、臨終の瞬間 「祖母の最期の時に立ち会えた」

文脈によっては「最後の時」でも死を指す場合がありますが、明確に「命の終わり」を表現したいときは「最期の時」を使うのが適切です。

Q2. 「最後を看取る」と「最期を看取る」どちらが正しい?

A. 「最期を看取る」が正しい表現です。

「看取る(みとる)」という言葉自体が「死に際まで見守り、息を引き取るのを見届ける」という意味を持っています。

つまり、「看取る」は命の終わりに関わる言葉なので、「最期を看取る」の組み合わせが正しいのです。

「最後を看取る」と書いても意味は通じますが、「看取る」の本来の意味を考えると、「最期」を使うほうがより正確で自然な表現になります。

▼ 正しい使い方

  • ○ 母の最期を看取ることができた
  • ○ 愛犬の最期を看取った
  • △ 祖父の最後を看取った(意味は通じるが「最期」が望ましい)

Q3. 「最後の晩餐」はなぜ「最期」ではないの?

A. 「晩餐(食事)」自体は命ではないため、「最後」を使います。

「最後の晩餐」は、キリストが処刑される前夜に弟子たちと囲んだ食事のことです。

確かにキリストの死に関係する出来事ですが、ここで終わるのは「食事」であり「命」ではありません。

つまり、「最後の〇〇」という形で使うとき、〇〇の部分が命を持たないものであれば「最後」を使うということです。

▼ 判断の例

  • 最後の晩餐 → 食事の終わり → 「最後」
  • 最後の手紙 → 手紙を書く行為の終わり → 「最後」
  • 最期の言葉 → 命が終わる直前の言葉 → 「最期」
  • 最期の瞬間 → 命が終わるその瞬間 → 「最期」

ただし、「死刑囚の最後の晩餐」のように文脈で死が強く意識される場合でも、「晩餐」という食事を指している以上は「最後」が適切です。

Q4. 弔辞やお悔やみで使うならどちら?

A. 文脈によって使い分けますが、死に際を表すなら「最期」を使います。

弔辞やお悔やみの場面では、どちらの漢字も使われます。

ポイントは「何を指しているか」です。

場面 使う漢字 例文
故人の死に際・臨終を指すとき 最期 「穏やかな最期でした」「最期まで立派な方でした」
故人と会った最終の機会を指すとき 最後 「最後にお会いしたのは先月でした」
葬儀という最終の別れの場を指すとき 最後 「最後のお別れに参りました」

弔辞を書く際は、「命の終わり」を指すなら「最期」、「機会や場の終わり」を指すなら「最後」と使い分けましょう。

迷ったときは、「命に直結しているかどうか」で判断するとよいですよ。

Q5. 「後」と「期」の漢字の成り立ちは?

A. 「後」は「あと・うしろ」、「期」は「時期・期限」を意味し、それぞれ違うニュアンスを持っています。

漢字の成り立ちを知ると、「最後」と「最期」の違いがより理解しやすくなります。

▼「後」の意味

  • 時間的に「あと」「のち」
  • 空間的に「うしろ」
  • 順序として「最終」

「後」は時間・空間・順序など、幅広い「あと」を表す漢字です。

そのため「最後」は、あらゆる物事の終わりに使える汎用的な言葉になっています。

▼「期」の意味

  • 決まった時、時期
  • 区切りとなる時点
  • 約束された時(期限、期日など)

「期」は「決まった時期」「区切りの時」という意味を持ちます。

人の命には必ず終わりが来るという意味で、「命の終わる時期」を「最期」と表現するようになりました。

つまり、「最後」は単純に「いちばん後ろ」を意味し、「最期」は「命という時間の最後の区切り」を意味しているのです。

漢字の成り立ちからも、「最期」が命に特化した言葉であることがわかりますね。

まとめ:「最後」と「最期」を正しく使い分けよう

この記事では、「最後」と「最期」の違いについて、辞書の定義から具体的な例文まで詳しく解説してきました。

最後にポイントをおさらいしましょう。

比較項目 最後 最期
意味 物事の終わり全般 命の終わり(死に際)
使用場面 日常・ビジネス・あらゆる場面 死・臨終に関する場面のみ
対義語 最初 なし
使用頻度 高い(日常的) 低い(限定的)

使い分けの判断基準はシンプルです。

「命に関係するかどうか」——これだけ覚えておけば、迷うことはほとんどありません。

  • 命に関係ない終わり → 「最後」(映画の最後、仕事の最後、最後の一切れ)
  • 命の終わり・死に際 → 「最期」(祖父の最期、最期の言葉、安らかな最期)

弔辞やお悔やみの場面では特に注意が必要です。

故人の死に際を表すときは「最期」、会った機会や場を指すときは「最後」と、状況に応じて正しく使い分けましょう。

日本語には、同じ読み方でも漢字によって意味が変わる言葉がたくさんあります。

「最後」と「最期」もその一つ。正しく使い分けることで、あなたの言葉はより相手に伝わりやすくなりますよ。

著者・監修者情報

日本語ライター/語彙研究家。幼い頃から日本語や言葉の響きに深い関心を持ち、
言葉の意味や使い分けを体系的に学んできました。
現在は「日本語の奥深さをわかりやすく伝える」をテーマに、記事執筆・監修を行っています。

資格・経歴

  • 2012年:日本語検定1級 取得
  • 2012年:日本語文章能力検定1級 取得
  • 日本語教育・語彙研究分野での執筆・監修活動(累計100記事以上)

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※本記事は日本語学習・語彙研究の観点から執筆・監修されています。
※内容は複数の国語辞典・文化庁資料を参考に、独自の視点で再構成しています。

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