「食品」と「食物」の違いを比較表で解決!意味・正しい使い分けは例文で徹底解説

「しょくひん」と入力して変換すると、「食品」と「食物」の2つが表示されて、どちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?

同じ読み方なのに使われる場面が異なるこの2つの言葉は、使い分けを間違えるとビジネスシーンで違和感を与えてしまう可能性があります。

偉人:織田信長くん

秀吉よ、わしが「食品を買いに行く」と言ったら、家臣たちが妙な顔をしておった。
何がおかしいのだ?

偉人:豊臣秀吉くん

それは信長様、庶民は「食べ物を買いに行く」って言いますからな!
「食品」はちと堅苦しいですぜ。
でも商人が「食品を仕入れる」と言えば自然なんです。

偉人:織田信長くん

ほう、使う場面で変わるのか。
ならば「食物連鎖」とやらは何だ?

偉人:豊臣秀吉くん

それは生き物の話ですから「食物」が正しいんですわ!
この記事を読めば、信長様も使い分けの達人になれますぜ!

結論:
食品」は商品として販売される食べ物(商業的視点)。
食物」は生物が摂取する栄養源(生物学的視点)。
お店で売っているものなら「食品」、栄養や生態系の話なら「食物」を使えばOKです。

この記事でわかること

  • 「食品」と「食物」の基本的な意味の違い
  • 商業・流通と生物学・栄養学での使い分け
  • 「食品添加物」「食物繊維」など専門用語の正しい表現
  • クイズ形式で学ぶ実践的な使い分け方
  • 「食料」「食材」「食べ物」との違いとQ&A

この記事では、比較表や豊富な例文を使って、誰でも簡単に理解できるように解説しています。

ビジネス文書や日常会話で自信を持って使い分けられるよう、ぜひ最後までご覧ください。

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「食品」と「食物」の違い

「食品」と「食物」は、どちらも「食べ物」を意味する言葉ですが、使われる場面やニュアンスが異なります。

簡単に言うと、「食品」は商業・流通の分野で使われることが多く、スーパーやコンビニで売られている商品を指すイメージです。

一方、「食物」は生物学や栄養学の分野で使われ、生き物が摂取する栄養源全般を指します。

この違いを理解すれば、状況に応じて自然に使い分けられるようになるでしょう。

「食品」の意味と使い方

「食品」は、人が食べるために加工・製造・販売される食べ物全般を指します。

法律上の定義もあり、「食品衛生法」では「すべての飲食物」と定められています。

日常生活では、パッケージに入った商品や、お店で販売されている食べ物を「食品」と呼ぶことが一般的です。

🔵 よく使われる表現

  • 食品添加物
  • 食品表示
  • 加工食品
  • 冷凍食品
  • 健康食品

「食品」という言葉は、ビジネスや法律、消費者の立場から食べ物を見るときに使われる傾向があります。

友人のAさんは、食品メーカーに勤めていますが、「うちの会社では『食品開発』という部署名を使っていて、『食物開発』とは絶対に言わない」と話していました。

「食物」の意味と使い方

「食物」は、生物が生きるために摂取する栄養源を指す言葉です。

人間だけでなく、動物や植物が食べるものすべてを含みます。

学術的な文脈や、栄養・健康について語る場面でよく使われます。

自然界の食べ物や、生命活動に必要な栄養という観点から食べ物を捉える際に用いられます。

🔵 よく使われる表現

  • 食物繊維
  • 食物連鎖
  • 食物アレルギー
  • 食物摂取
  • 消化食物

栄養士をしている知人のBさんによれば、「栄養指導では『食物繊維を多く含む食品を選びましょう』というように、両方の言葉を使い分けている」とのことです。

この例からも、2つの言葉には明確な使い分けがあることがわかります。

2つの違いを比較表で確認

「食品」と「食物」の違いを、わかりやすく表にまとめました。

比較項目 食品 食物
主な意味 商品として流通する食べ物 生物が摂取する栄養源
使用分野 商業・流通・法律 生物学・栄養学・医学
対象範囲 主に人間が食べるもの 人間・動物・植物すべて
ニュアンス 加工・販売される商品 自然界の食べ物・栄養
よく使う場面 スーパー、レストラン、法律 学校、病院、研究機関
冷凍食品、健康食品 食物連鎖、食物繊維

この表を見れば、「食品」は商業的・社会的な視点、「食物」は生物学的・栄養学的な視点という違いが一目で分かります。

【ここがポイント!】
✓ 食品 = 商品として製造・販売される食べ物(商業的視点)
✓ 食物 = 生物が摂取する栄養源全般(生物学的視点)
✓ お店で売っているもの→「食品」、栄養や生態系の話→「食物」
✓ 迷ったら「食べ物」を使えば自然!
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「食品」とは?

「食品」とは、人が食べるために用意された食べ物のことで、特に商品として製造・加工・販売されるものを指します。

スーパーマーケットやコンビニで売られている商品の多くが「食品」に該当し、法律でも「食品衛生法」などで明確に定義されています。

原材料から完成品まで、人の口に入るものすべてが食品として扱われます。

「食品」の辞書的な意味

辞書で「食品」を引くと、「食用に供する品物」「飲食に用いる物品」などと説明されています。

単なる「食べ物」との違いは、「品物」つまり「商品」としての側面が強調されている点です。

📘 主要な辞書での定義

  • 広辞苑:「食用に供する品物」
  • 大辞林:「飲食に用いる物品」
  • 明鏡国語辞典:「食べたり飲んだりするための品物」

法律面では、食品衛生法第4条で「すべての飲食物をいう。

ただし、医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない」と定義されています。

つまり、薬やサプリメント(医薬品扱い)は食品には含まれません。

この法的定義により、食品の安全基準や表示ルールが厳格に定められているのです。

「食品」は、精選版 日本国語大辞典では次のように説明されています。
出典:精選版 日本国語大辞典 (コトバンク)

「食品」が使われる場面

「食品」という言葉は、主にビジネスや法律、消費者保護の文脈で使われます。

製造・流通・販売・購入など、経済活動に関わる場面で登場することが多いのが特徴です。

🛒 食品が使われる代表的な場面

  • 小売店: スーパー、コンビニの商品棚
  • 製造業: 食品工場、食品メーカー
  • 法規制: 食品衛生法、食品表示法
  • 流通業: 食品卸売、食品物流
  • 飲食業: レストランの仕入れ、食品原価
  • 行政: 保健所の食品検査

友人のCさんが食品関連の仕事をしていますが、「社内では必ず『食品』という言葉を使う。『食物』なんて言ったら、周りから不思議な顔をされる」と笑いながら話していました。

業界では当たり前の使い分けなのだそうです。

「食品」を使った例文5選

実際に「食品」がどのように使われるか、例文で確認しましょう。

例文1:購買シーン 「このスーパーでは、国産食品コーナーが充実しています」

例文2:製造・品質管理 「食品の製造過程では、徹底した衛生管理が求められる」

例文3:表示・ラベル 「食品表示法により、アレルギー物質の表示が義務付けられている」

例文4:保存・取り扱い 「冷凍食品は、-18度以下で保存する必要があります」

例文5:分類・カテゴリー 「加工食品と生鮮食品では、保存方法が大きく異なる」

これらの例文を見ると、「食品」は商品や製品として扱われる食べ物を指していることがよくわかります。

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「食物」とは?

「食物」とは、生物が生命を維持するために摂取する栄養源全般を指します。

人間だけでなく、動物や植物が食べるものすべてを含む、より広い概念です。

学術的な場面や、栄養学・生物学の文脈でよく使われ、「生き物にとっての栄養」という生物学的な視点が強い言葉といえます。

「食物」の辞書的な意味

辞書で「食物」を調べると、「食べ物」「生命を維持するために摂取するもの」といった説明がなされています。

「食品」との大きな違いは、商業的な要素がなく、純粋に「栄養を得るためのもの」という生物学的な観点で定義されている点です。

📘 主要な辞書での定義

  • 広辞苑:「たべもの。食用にする物」
  • 大辞林:「食べ物。栄養をとるために口に入れるもの」
  • 明鏡国語辞典:「生命を維持するために摂取するもの」

学術的には、生物学や栄養学の教科書で「食物連鎖」「食物網」といった用語が使われます。

これらは自然界の生態系における栄養の流れを示す概念であり、商業活動とは無関係です。

このように、「食物」は生命科学の分野で重要な役割を果たす用語なのです。

「食物」は、精選版 日本国語大辞典では次のように説明されています。
出典:精選版 日本国語大辞典 (コトバンク)

「食物」が使われる場面

「食物」という言葉は、主に学術研究、医療、教育の分野で使われます。

栄養や健康、生態系について語る際に登場することが多く、商業的なニュアンスはほとんどありません。

🔬 食物が使われる代表的な場面

  • 医療・栄養: 食物アレルギー、食物繊維の指導
  • 生物学: 食物連鎖、食物網の研究
  • 教育: 理科の授業、栄養学の講義
  • 健康管理: 食物摂取量の記録、栄養バランス
  • 学術論文: 食物と健康に関する研究
  • 自然科学: 動物の食物行動の観察

管理栄養士の知人Dさんによれば、「患者さんに栄養指導をするときは『食物繊維』『食物アレルギー』といった専門用語を使うけど、『食品を選ぶときのポイント』という言い方もする。

場面によって自然に使い分けている」とのことでした。

「食物」を使った例文5選

実際に「食物」がどのように使われるか、例文で確認しましょう。

例文1:栄養・健康 「食物繊維を豊富に含む野菜を毎日食べることが大切です」

例文2:アレルギー・医療 「息子は卵による食物アレルギーがあるため、注意が必要だ」

例文3:生態系・自然科学 「食物連鎖の頂点に立つ生物は、生態系全体に大きな影響を与える」

例文4:消化・吸収 「食物は消化器官を通過する過程で、栄養素に分解される」

例文5:動物の行動 「この鳥類は、昆虫を主な食物として生活している」

これらの例文を見ると、「食物」は生物学的・医学的な文脈で使われることが明確にわかります。

「食品」と「食物」の使い分けポイント

「食品」と「食物」を使い分けるコツは、その場面が「商業的か学術的か」「人間中心か生物全般か」を考えることです。

簡単に言えば、お店で売っているものなら「食品」、栄養や生態系の話なら「食物」と覚えておくと間違いありません。

実際の使用例を見ながら、自然な使い分けができるようになりましょう。

商業・流通の場面では「食品」

スーパーマーケット、コンビニ、レストラン、食品メーカーなど、商業活動に関わる場面では必ず「食品」を使います。

商品として売買されるもの、お金を払って手に入れるものは「食品」です。

🏪 商業・流通シーンでの使い分け

✅ 正: 「この店は有機食品を扱っています」

❌ 誤: 「この店は有機食物を扱っています」

✅ 正: 「食品の値段が高騰している」

❌ 誤: 「食物の値段が高騰している」

✅ 正: 「食品メーカーで働いています」

❌ 誤: 「食物メーカーで働いています」

法律や規制の話でも「食品」が使われます。

「食品衛生法」「食品表示法」といった法律名は、必ず「食品」です。

「食物衛生法」という法律は存在しません。

会社員の友人Eさんは、「新入社員のとき、社内で『食物』と言ってしまって上司に苦笑された。それ以来、ビジネスの場では必ず『食品』と言うように気をつけている」と話していました。

職場では特に使い分けが重要なのです。

生物学・栄養学の場面では「食物」

理科の授業、医療現場、学術研究など、生物や栄養について語る場面では「食物」を使います。

特に「食物連鎖」「食物繊維」「食物アレルギー」といった学術用語は、必ず「食物」です。

🔬 生物学・栄養学シーンでの使い分け

✅ 正: 「食物連鎖について学ぶ」

❌ 誤: 「食品連鎖について学ぶ」

✅ 正: 「食物繊維が不足している」

❌ 誤: 「食品繊維が不足している」

✅ 正: 「食物アレルギーの検査を受ける」

❌ 誤: 「食品アレルギーの検査を受ける」

動物や植物が食べるものについて話すときも「食物」です。

「ライオンの食物は主に草食動物だ」とは言いますが、「ライオンの食品は...」とは言いません。

小学校教師の知人Fさんによれば、「理科の授業で食物連鎖を教えるとき、子どもたちに『お店で売っている食べ物は食品、動物が食べるものは食物』と説明すると、すぐに理解してくれる」とのことでした。

日常会話での使い分け

日常会話では、実はどちらを使っても大きな問題はありません。

ただし、より自然な響きを目指すなら、状況に応じた使い分けができるとスマートです。

💬 日常会話での使い分け例

買い物の話題 → 「食品」が自然

🔹 「今日は食品を買いに行く」(自然)

🔹 「今日は食物を買いに行く」(やや不自然)

健康の話題 → 「食物」が自然

🔹 「食物繊維の多いものを食べよう」(自然)

🔹 「食品繊維の多いものを食べよう」(誤り)

一般的な「食べ物」の話 → どちらでもOK

🔹 「おいしい食品が好き」(やや硬い)

🔹 「おいしい食物が好き」(やや硬い)

🔹 「おいしい食べ物が好き」(一番自然)

迷ったときは、「食べ物」という表現を使えば無難です。

「食品」も「食物」も少しフォーマルな印象があるため、カジュアルな会話では「食べ物」がもっとも自然に聞こえます。

【使い分けの決定版!】
✓ スーパー・コンビニ・レストラン → 「食品」
✓ 栄養・健康・病院 → 「食物」
✓ 食物繊維・食物連鎖・食物アレルギー → 必ず「食物」
✓ 食品添加物・食品表示・食品メーカー → 必ず「食品」
✓ 日常会話で迷ったら → 「食べ物」が一番自然

【クイズ】「食品」と「食物」どちらを使う?

ここまで学んだ知識を、クイズ形式で確認してみましょう。

3つのシーンを用意しましたので、それぞれ「食品」と「食物」のどちらが適切か考えてみてください。

答えと解説もついていますので、楽しみながら理解を深められます。

シーン1:スーパーマーケットの商品

🎯 クイズ問題

「このスーパーでは、オーガニック〇〇を豊富に取り揃えています」

さて、〇〇に入るのは「食品」「食物」のどちらでしょうか?

📝 答え:「食品」が正解

✅ 正解の文章 「このスーパーでは、オーガニック食品を豊富に取り揃えています」

💡 解説

スーパーマーケットは商品を販売する場所です。

お店で売られている商品については「食品」を使います。

「オーガニック食品」「有機食品」「健康食品」など、商品カテゴリーを表す場合は必ず「食品」です。

「オーガニック食物」という表現は、商業的な文脈では使われません。

シーン2:栄養バランスの話題

🎯 クイズ問題

「〇〇繊維を多く含む野菜を食べると、腸内環境が改善されます」

さて、〇〇に入るのは「食品」「食物」のどちらでしょうか?

📝 答え:「食物」が正解

✅ 正解の文章 「食物繊維を多く含む野菜を食べると、腸内環境が改善されます」

💡 解説

「食物繊維」は栄養学の専門用語であり、必ず「食物」を使います。

「食品繊維」という言葉は存在しません。

医療や健康に関する話題で、栄養素について語る場合は「食物」が適切です。

同様に「食物アレルギー」も「食品アレルギー」ではなく「食物アレルギー」が正しい表現です。

シーン3:食べ物アレルギーの話

🎯 クイズ問題

「息子は小麦による〇〇アレルギーがあるため、病院で検査を受けました」

さて、〇〇に入るのは「食品」「食物」のどちらでしょうか?

📝 答え:「食物」が正解

✅ 正解の文章 「息子は小麦による食物アレルギーがあるため、病院で検査を受けました」

💡 解説

医学用語としては「食物アレルギー」が正式名称です。

病院やクリニックで診断書に記載されるのも「食物アレルギー」です。

ただし、日常会話やインターネット検索では「食品アレルギー」という表現も使われることがあります。

厳密には「食物アレルギー」が医学的に正しい用語ですが、「食品アレルギー」も広く理解されているため、会話では両方使われているのが実情です。

🔍 補足情報

  • 医療機関の正式文書:「食物アレルギー」
  • 一般的な会話:「食物アレルギー」または「食品アレルギー」
  • 食品表示法での記載:「アレルゲン(アレルギー物質)」

「食品」「食物」と似た言葉の違い

「食品」「食物」以外にも、似たような意味を持つ言葉がいくつか存在します。

「食料」「食材」「食べ物」など、これらの言葉との違いを理解すれば、より正確な日本語表現ができるようになります。

それぞれの特徴と使い分けを見ていきましょう。

「食料」との違い

「食料」は、生活に必要な食べ物全般を指し、特に備蓄や供給という観点から使われる言葉です。

「食品」や「食物」よりも、マクロな視点で食べ物を捉えています。

📊 「食料」の特徴

  • 意味: 生活のために必要な食べ物の総称
  • 視点: 供給・備蓄・確保という社会的観点
  • 使用場面: 政策、経済、災害対策
  • 対象: 個別商品ではなく全体量

🔄 使い分け例

✅ 「食料自給率を上げる」(○)

❌ 「食品自給率を上げる」(△やや不自然)

✅ 「非常食を食料として備蓄する」(○)

✅ 「この食品は長期保存できる」(○)

「食料」は量や供給に焦点を当てた言葉なので、「食料不足」「食料危機」「食料品店」といった表現でよく使われます。

一方、「食品」は個別の商品を指すため、「冷凍食品」「加工食品」のように使われます。

会社員の知人Gさんは、「災害対策の担当になったとき、上司から『食料の備蓄計画を立てて』と言われた。このとき『食品』ではなく『食料』という言葉を使うんだと実感した」と話していました。

「食材」との違い

「食材」は、料理をするための材料という意味で、調理前の素材を指します。

「食品」や「食物」とは、「調理するための材料」という点で異なります。

📊 「食材」の特徴

  • 意味: 料理を作るための材料
  • 視点: 調理・料理という行為に焦点
  • 使用場面: キッチン、レシピ、料理番組
  • 対象: 野菜、肉、魚などの素材

🔄 使い分け例

✅ 「新鮮な食材を使った料理」(○)

❌ 「新鮮な食品を使った料理」(△可能だがやや不自然)

✅ 「地元の食材を活かす」(○)

✅ 「この食品は調理済みです」(○)

「食材」は基本的に調理前の状態を指すため、「食材を切る」「食材を炒める」といった表現が自然です。

一方、「食品」は調理済みの商品も含むため、「レトルト食品」「冷凍食品」のように使えます。

料理教室に通っている友人Hさんによれば、「先生は『今日の食材はこちらです』と説明するけど、『今日の食品は...』とは絶対に言わない。食材という言葉を使うことで、これから料理するんだという意識が高まる」とのことでした。

「食べ物」との違い

「食べ物」は、もっとも一般的で日常的な表現です。

「食品」や「食物」よりもカジュアルで、子どもから大人まで誰でも使える言葉です。

専門的なニュアンスがなく、柔らかい印象を与えます。

📊 「食べ物」の特徴

  • 意味: 口に入れて食べるものすべて
  • 視点: 特に限定なし、最も広義
  • 使用場面: 日常会話、カジュアルな文章
  • 対象: あらゆる食用のもの

🔄 使い分け例

✅ 「好きな食べ物は何ですか?」(自然)

△ 「好きな食品は何ですか?」(やや硬い)

△ 「好きな食物は何ですか?」(やや不自然)

✅ 「おいしい食べ物を食べたい」(自然)

✅ 「食品表示を確認する」(ビジネス的)

使い分けの目安

  • フォーマル・ビジネス: 食品・食物
  • 学術・医療: 食物
  • 日常会話: 食べ物
  • 子ども向け: 食べ物

小学生の子どもを持つ知人Iさんは、「子どもに『今日は何の食品が食べたい?』と聞いたら、『食品って何?』と言われた。それからは『食べ物』という言葉を使うようにしている」と笑っていました。

相手や状況に応じて使い分けることが大切です。

「食品」「食物」に関するQ&A

ここまで「食品」と「食物」の違いを詳しく見てきましたが、まだ細かい疑問が残っている方もいるでしょう。

よくある質問とその答えをQ&A形式でまとめました。

これらを読めば、より深く2つの言葉の使い分けを理解できるはずです。

「食品」と「食物」は厳密に使い分けるべき?

Q: 日常会話で「食品」と「食物」を間違えたら、おかしいと思われますか?

A: 日常会話では、それほど厳密に使い分ける必要はありません。

普段の会話で多少混同しても、相手に意味は十分伝わりますし、失礼にあたることもありません。

ただし、専門的な場面では正しい使い分けが求められます。

⚠️ 厳密な使い分けが必要な場面

  • ビジネス文書や企画書
  • 学術論文やレポート
  • 医療・栄養の専門的な場面
  • 法律や規制に関する文書

柔軟でOKな場面

  • 友人との日常会話
  • 家族との食事の話題
  • SNSの投稿
  • カジュアルなブログ記事

迷ったときは「食べ物」という表現を使えば、どんな場面でも自然です。

専門用語として確立している「食物繊維」「食品添加物」などは、正しく使うことをおすすめします。

法律や公的文書ではどちらが使われる?

Q: 法律や行政の文書では、「食品」と「食物」のどちらが使われていますか?

A: 法律や行政文書では、圧倒的に「食品」が使われます。

日本の法律では、「食品衛生法」「食品表示法」「食品安全基本法」など、すべて「食品」という言葉が使われています。

「食物」を使った法律名は存在しません。

📜 主要な法律での使用例

✅ 食品衛生法

✅ 食品表示法

✅ 食品安全基本法

✅ 食品リサイクル法

これは、法律が「商品として流通する食べ物」を規制する目的で作られているためです。

製造・販売・表示・安全基準など、すべて商業活動に関わる内容なので、「食品」が適切なのです。

一方、厚生労働省が発行する健康ガイドラインなどでは「食物繊維」「食物アレルギー」といった用語が使われます。

これは栄養や健康という観点からの記述だからです。

同じ公的文書でも、文脈によって使い分けられているのです。

英語では何と言う?

Q: 「食品」と「食物」は、英語ではどう表現しますか?

A: 英語では文脈によって複数の単語が使い分けられます。

日本語の「食品」「食物」ほど明確な区別はありませんが、ニュアンスの違いがあります。

🌐 英語表現の対応

「食品」に近い英語

🔹 food (一般的な食べ物)

🔹 food product (食品商品)

🔹 foodstuff (食料品)

🔹 food item (食品アイテム)

「食物」に近い英語

🔹 food (栄養源としての食べ物)

🔹 diet (食事、食習慣)

🔹 nutrition (栄養)

専門用語の英訳

✅ 食品添加物 → food additive

✅ 食物繊維 → dietary fiber

✅ 食物連鎖 → food chain

✅ 食物アレルギー → food allergy

興味深いのは、「食物繊維」は英語で「dietary fiber」となり、「food fiber」とは言わない点です。

これは栄養学の専門用語として確立しているためです。

言語によって表現方法が異なることがわかります。

「食品添加物」はなぜ「食物添加物」ではない?

Q: 「食品添加物」という言葉がありますが、なぜ「食物添加物」ではないのですか?

A: 「添加物」は商品に加えられるものなので、「食品」が適切です。

食品添加物は、製造・加工の過程で商品に添加される物質です。

保存料、着色料、甘味料などが該当します。

これらは商業製品である「食品」を作る際に使われるため、「食品添加物」という名称になっています。

🔬 食品添加物の例

🔸 保存料(ソルビン酸など)

🔸 着色料(カラメル色素など)

🔸 甘味料(アスパルテームなど)

🔸 増粘剤(キサンタンガムなど)

「食物添加物」という言葉が使われないのは、生物学的な「食物」に化学物質を添加するという概念が成立しないためです。

添加物は人工的に製造・管理される商品の一部であり、自然界の食物とは異なる次元の話なのです。

法律上も「食品衛生法」で「食品添加物」と定義されており、この用語が公式に使われています。

スーパーの商品パッケージに記載されている添加物リストも、必ず「食品添加物」という表記です。

「食物連鎖」はなぜ「食品連鎖」ではない?

Q: 生態系の「食物連鎖」は、なぜ「食品連鎖」ではないのですか?

A: 自然界の生態系の話なので、「食物」が適切です。

食物連鎖は、生物が他の生物を食べることで成り立つ、自然界のつながりを表す概念です。

植物→草食動物→肉食動物という栄養の流れを示しており、商業活動とは無関係です。

🌿 食物連鎖の例

🔸 植物(生産者)→昆虫(一次消費者)→鳥(二次消費者)→猛禽類(三次消費者)

🔸 海藻→小魚→大型魚→イルカ・サメ

「食品連鎖」という言葉が不自然なのは、「食品」が人間社会における商品を指すためです。

野生動物が他の動物を食べる行為に「商品」という概念は存在しません。

自然界の栄養の流れを表現するには、生物学的な視点を持つ「食物」が適しているのです。

同様に、「食物網」「食物ピラミッド」といった生態学の用語も、すべて「食物」を使います。

これらは学術用語として確立しているため、変えることはできません。

まとめ

「食品」と「食物」は、どちらも「食べ物」を意味する言葉ですが、使われる場面が異なります。

「食品」は商業・流通の分野で使われ、スーパーやコンビニで売られている商品を指します。

一方、「食物」は生物学や栄養学の分野で使われ、生き物が摂取する栄養源全般を表します。

使い分けのコツは、お店で売っているものなら「食品」、栄養や生態系の話なら「食物」と覚えておくことです。

「食物繊維」「食物連鎖」は必ず「食物」、「食品添加物」「食品表示」は必ず「食品」を使います。

日常会話では厳密に使い分ける必要はありませんが、ビジネスや専門的な場面では正しい表現を心がけましょう。

迷ったときは「食べ物」という言葉を使えば、どんな場面でも自然です。

この記事を参考に、状況に応じた適切な言葉選びができるようになれば幸いです。

著者・監修者情報

日本語ライター/語彙研究家。幼い頃から日本語や言葉の響きに深い関心を持ち、
言葉の意味や使い分けを体系的に学んできました。
現在は「日本語の奥深さをわかりやすく伝える」をテーマに、記事執筆・監修を行っています。

資格・経歴

  • 2012年:日本語検定1級 取得
  • 2012年:日本語文章能力検定1級 取得
  • 日本語教育・語彙研究分野での執筆・監修活動(累計100記事以上)

▶ 著者・監修者プロフィールを見る

※本記事は日本語学習・語彙研究の観点から執筆・監修されています。
※内容は複数の国語辞典・文化庁資料を参考に、独自の視点で再構成しています。

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