「実行」と「実践」の違いは?意味・使い方を辞書比較と例文5選で徹底解説

「計画を実行する」と「計画を実践する」——どちらも正しそうだけど、何が違うの?

「実行」と「実践」は、どちらも「実際に行う」という意味を持つため、混同しやすい言葉です。

しかし、この2つには明確な違いがあり、ビジネスシーンや文章で使い分けができると、表現の精度がぐっと上がります。

この記事では、「実行」と「実践」の意味の違いを辞書の定義から丁寧に解説し、具体的な例文とともに正しい使い分けをご紹介します。

この記事でわかること

  • 「実行」と「実践」の意味の違い
  • 辞書3社による定義の比較
  • 「実施」との違い
  • 場面別の例文5選
  • 使い分けに迷ったときの判断基準

「実行」と「実践」の違いがあいまいな方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

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「実行」と「実践」の違いとは【結論】

まず結論からお伝えします。

「実行」と「実践」の違いは、行動の前提に「理論や知識」があるかどうかです。

比較項目 実行 実践
意味 実際に行うこと 主義・理論などを実際に自分で行うこと
前提条件 特になし(意志があればOK) 理論・知識・主義が必要
使用範囲 広い(汎用的) 限定的(学び・教えに基づく場合)
ニュアンス 「やる」「行動に移す」 「学んだことを試す」「身をもって行う」
計画を実行する、犯行を実行する 理論を実践する、教えを実践する

簡単に言えば、「実行」は単純に「やること」「実践」は「学んだことや信じていることをやること」です。

たとえば、ダイエットの場面で考えてみましょう。

  • 「ダイエットを実行する」→ ダイエットという行動を始める
  • 「栄養学の知識を実践する」→ 学んだ知識に基づいて食事を改善する

どちらも「行動する」点は同じですが、「実践」には「知識や理論を土台にしている」というニュアンスが加わります。

ちなみに、漢字の成り立ちを見るとこの違いがよくわかります。

  • 「行」=いく、おこなう(シンプルに行動する)
  • 「践」=ふむ、ふみ行う、したがう(決められたとおりに行う)

「践」には「決めたとおりに従って行う」という意味があるため、「実践」は理論や主義に従って行動するというニュアンスになるのです。

私も以前、上司に「計画を実践してくれ」と言われて違和感を覚えたことがあります。

計画は「理論」ではないので、この場合は「実行」のほうが自然なんですよね。

言葉の微妙な違いを知っておくと、こうした場面でもモヤモヤせずに済みます。

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「実行」の意味と使い方

まずは「実行」の意味から詳しく見ていきましょう。

「実行」の辞書定義

「実行」を辞書で調べると、次のように定義されています。

辞書 定義
デジタル大辞泉 実際に行うこと
精選版日本国語大辞典 計画や理論などを実際に行なうこと。実地に行動すること

どちらの辞書でも共通しているのは、「実際に行う」というシンプルな意味です。

つまり「実行」は、頭の中で考えていることや計画していることを、現実の行動として起こすことを指します。

また、刑法では「故意をもって犯罪を構成する要件にあたる行為を行うこと」という意味もあり、「実行犯」という言葉はここから来ています。

「実行」の使い方・例文

「実行」は、日常生活からビジネスまで幅広い場面で使われます。

▼ 日常での使い方

  • ダイエットの計画を実行する
  • 旅行の予定を実行に移す
  • 約束を実行する

▼ ビジネスでの使い方

  • プロジェクトを実行する
  • 経営戦略を実行に移す
  • 改善策を実行する

「実行」を使った表現・慣用句

「実行」を含む表現も覚えておくと便利です。

表現 意味 例文
実行に移す 計画を実際の行動として始める 「アイデアを実行に移す時が来た」
有言実行 言ったことを必ず実行すること 「彼は有言実行の人だ」
不言実行 黙ってなすべきことを実行すること 「不言実行で結果を出す」
実行力 計画などを実行に移す能力 「実行力のあるリーダー」
実行犯 実際に犯罪行為を行った人 「実行犯が逮捕された」

「実行」のポイント

「実行」の特徴をまとめると、次のようになります。

  • 意味が広い:理論や知識がなくても、意志さえあれば「実行」できる
  • 汎用性が高い:日常・ビジネス・法律など、あらゆる場面で使える
  • 「やる」に近い:シンプルに「行動に移す」というニュアンス

「実行」は、3つの言葉(実行・実践・実施)の中で最も使用範囲が広く、迷ったときは「実行」を使えばたいてい間違いありません。

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「実践」の意味と使い方

次に「実践」の意味を詳しく見ていきましょう。

「実践」の辞書定義

「実践」を辞書で調べると、次のように定義されています。

辞書 定義
デジタル大辞泉 主義・理論などを実際に自分で行うこと
精選版日本国語大辞典 考えを実際に行なうこと。自分で実地に行ない、行為、動作にあらわすこと

ポイントは「主義・理論などを」という部分です。

「実行」が単に「実際に行う」という意味だったのに対し、「実践」には「学んだこと」「信じていること」を土台にして行動するというニュアンスが含まれています。

また、デジタル大辞泉には次のような用法解説もあります。

「実践」は理論・徳目などを、みずから実際に行う場合に多く使う。「理論と実践」「神の教えを実践する」など。「親孝行の実践」に、「実行」を用いると不自然な感じになる。

つまり、道徳的・倫理的な行為には「実践」のほうが自然だということです。

「実践」の使い方・例文

「実践」は、学びや教えを行動に移す場面でよく使われます。

▼ 学習・教育での使い方

  • 授業で学んだ理論を実践する
  • 研修で習った接客術を実践する
  • マニュアルの内容を実践する

▼ 道徳・倫理での使い方

  • 親孝行を実践する
  • 神の教えを実践する
  • 環境に優しい生活を実践する

▼ ビジネスでの使い方

  • セミナーで学んだノウハウを実践する
  • 成功者の習慣を実践する
  • PDCAサイクルを実践する

「実践」を使った表現

「実践」を含む表現も押さえておきましょう。

表現 意味 例文
理論と実践 知識と、それを実際に行うこと 「理論と実践のバランスが大切だ」
実践に移す 学んだことを実際に行動として始める 「知識を実践に移す」
実践的 実際に役立つさま、実用的 「実践的なスキルを身につける」
実践躬行(じっせんきゅうこう) 実際に自分自身で行うこと 「実践躬行を心がける」

「実践」のポイント

「実践」の特徴をまとめると、次のようになります。

  • 前提がある:理論・知識・主義・教えなどが土台になっている
  • 「自分で行う」:他人任せではなく、みずから行動するニュアンス
  • 道徳的な場面に強い:倫理的な行為には「実行」より「実践」が自然

私が「実践」という言葉でいつも思い出すのは、新入社員研修のときのことです。

講師の方が「学んだことは、明日から必ず実践してください」と言っていました。

単に「やってください」ではなく「実践してください」と言われると、「ちゃんと学びを活かさなきゃ」という気持ちになったのを覚えています。

「実践」には、そういう重みがある言葉なんですよね。

「実施」との違いも解説

「実行」「実践」と似た言葉に「実施」があります。

この3つはどう違うのでしょうか?

「実施」の辞書定義

「実施」を辞書で調べると、次のように定義されています。

辞書 定義
デジタル大辞泉 法律・計画などを実際に行うこと
精選版日本国語大辞典 実際に施行すること。実行

「実施」のポイントは「法律・計画など」という部分です。

あらかじめ決められた計画や制度、行事などを予定どおりに行うときに「実施」を使います。

「実行」「実践」「実施」の違い一覧

3つの違いを一覧表で比較してみましょう。

比較項目 実行 実践 実施
意味 実際に行うこと 主義・理論などを実際に自分で行うこと 法律・計画などを実際に行うこと
行動の前提 意志があればOK 理論・知識・主義 計画・法律・制度
主体 個人・組織どちらも 主に個人(自分で行う) 主に組織・団体
ニュアンス やる、行動に移す 学んだことを試す 予定どおりに進める
使用範囲 最も広い(汎用的) 学習・道徳の場面 公式・制度の場面

3つの使い分けを具体例で確認

同じ場面でも、どの言葉を使うかでニュアンスが変わります。

▼ 会社の新制度について

  • 新制度を実行する → シンプルに「やる」というニュアンス
  • 新制度を実施する → 計画どおりに「施行する」というニュアンス(こちらが自然)

▼ セミナーで学んだことについて

  • 学んだことを実行する → シンプルに「やる」というニュアンス
  • 学んだことを実践する → 知識を「身をもって試す」というニュアンス(こちらが自然)

▼ ダイエットについて

  • ダイエットを実行する → ダイエットという行動を始める(自然)
  • 栄養学を実践する → 栄養の知識に基づいて食事を改善する(自然)
  • ダイエット計画を実施する → 決めた計画どおりに進める(やや堅い)

迷ったときの判断基準

どの言葉を使うか迷ったときは、次の基準で判断しましょう。

こんなときは 使う言葉
シンプルに「やる」と言いたい 実行
学んだこと・信じていることを行動に移す 実践
計画・行事・制度を予定どおり行う 実施
どれを使うか迷った 実行(最も汎用的)

「実行」は3つの中で最も使用範囲が広いため、迷ったら「実行」を使えば大きな間違いにはなりません。

ただし、試験や行事には「実施」教えや理論には「実践」を使うと、より自然な表現になります。

辞書3社で比較してみた

「実行」「実践」「実施」の違いをより明確にするため、複数の辞書で定義を比較してみましょう。

「実行」の辞書比較

辞書 定義
デジタル大辞泉 実際に行うこと
精選版日本国語大辞典 計画や理論などを実際に行なうこと。実地に行動すること
goo国語辞書 実際に行うこと

どの辞書でも「実際に行う」という点は共通しています。

精選版日本国語大辞典では「計画や理論など」という前提が加わっていますが、基本的には幅広い場面で使える汎用的な言葉であることがわかります。

「実践」の辞書比較

辞書 定義
デジタル大辞泉 主義・理論などを実際に自分で行うこと
精選版日本国語大辞典 考えを実際に行なうこと。自分で実地に行ない、行為、動作にあらわすこと
goo国語辞書 主義・理論などを実際に自分で行うこと

「実践」の定義には「主義・理論など」「考え」という言葉が入っています。

また、「自分で」という表現も特徴的で、他人任せではなく自らの意志で行動するニュアンスがあることがわかります。

「実施」の辞書比較

辞書 定義
デジタル大辞泉 法律・計画などを実際に行うこと
精選版日本国語大辞典 実際に施行すること。実行
goo国語辞書 法律・計画などを実際に行うこと

「実施」の定義には「法律・計画など」という言葉が入っています。

また、精選版日本国語大辞典では「施行」という言葉が使われており、制度や行事を正式に行うニュアンスがあることがわかります。

辞書の用法解説

デジタル大辞泉には、3つの言葉の使い分けについて次のような用法解説が記載されています。

「計画を実践(実行・実施)する」のように、実際に行う意では相通じて用いられる。

◇「実践」は理論・徳目などを、みずから実際に行う場合に多く使う。「理論と実践」「神の教えを実践する」など。

◇「実行」は最も普通に使われるが、倫理的な事柄についてはあまり用いない。「親孝行の実践」に、「実行」を用いると不自然な感じになる。

◇「実施」は、あらかじめ計画された事・行事などを実際に行う意で、「減税計画を実施する」「試験の実施期間」などと用いる。

辞書比較からわかること

辞書の定義と用法解説から、3つの言葉の違いをまとめると次のようになります。

言葉 前提となるもの 特徴
実行 特になし(意志があればOK) 最も汎用的。ただし倫理的な事柄には不向き
実践 主義・理論・徳目 「自分で」行うニュアンス。道徳的な場面に強い
実施 法律・計画・行事 公式・制度的な場面で使う。「施行」のニュアンス

辞書によって表現は異なりますが、3つの言葉の使い分けの基準は一貫しています。

「何を前提に行動するか」によって、適切な言葉が変わるということです。

例文5選で使い分けをマスター

「実行」「実践」「実施」の使い分けを、具体的な例文で確認していきましょう。

場面ごとに最適な言葉を選ぶポイントも解説します。

例文①:仕事の計画を進める場面

言葉 例文 適切さ
実行 プロジェクト計画を実行する ○(自然)
実践 プロジェクト計画を実践する △(やや不自然)
実施 プロジェクト計画を実施する ○(自然)

【解説】
計画を進める場面では「実行」または「実施」が適切です。

「実践」は理論や主義に基づく行動に使うため、単なる計画の遂行にはやや不自然です。

組織として公式に進める場合は「実施」、個人やチームの行動として表現する場合は「実行」がしっくりきます。

例文②:研修で学んだことを活かす場面

言葉 例文 適切さ
実行 研修で学んだ接客術を実行する ○(通じる)
実践 研修で学んだ接客術を実践する ◎(最適)
実施 研修で学んだ接客術を実施する △(やや不自然)

【解説】
研修やセミナーで学んだ知識を活かす場面では「実践」が最適です。

「学んだことを自分で試す」というニュアンスがぴったり合います。

「実行」でも意味は通じますが、「実践」のほうが「知識を身につけて行動する」という積極的な姿勢が伝わります。

例文③:試験や行事を行う場面

言葉 例文 適切さ
実行 入学試験を実行する △(やや不自然)
実践 入学試験を実践する ×(不自然)
実施 入学試験を実施する ◎(最適)

【解説】
試験や行事など、あらかじめ計画された公式なイベントを行う場面では「実施」が最適です。

「試験を実施する」「健康診断を実施する」「避難訓練を実施する」など、組織が主催する行事には「実施」を使いましょう。

例文④:道徳的な行動を表す場面

言葉 例文 適切さ
実行 親孝行を実行する △(やや不自然)
実践 親孝行を実践する ◎(最適)
実施 親孝行を実施する ×(不自然)

【解説】
親孝行やボランティア、環境保護など、道徳的・倫理的な行動を表す場面では「実践」が最適です。

辞書にも「倫理的な事柄には実行はあまり用いない」と記載されています。

「神の教えを実践する」「SDGsを実践する」なども同様です。

例文⑤:約束を守る場面

言葉 例文 適切さ
実行 約束したことを実行する ◎(最適)
実践 約束したことを実践する △(やや不自然)
実施 約束したことを実施する △(堅い印象)

【解説】
約束を守る場面では「実行」が最適です。

「有言実行」という四字熟語があるように、言ったことや決めたことを行動に移すときは「実行」を使います。

「不言実行」も同様に「実行」が使われています。

例文5選のまとめ

場面 最適な言葉 理由
仕事の計画を進める 実行・実施 計画の遂行なので「実行」か「実施」
研修で学んだことを活かす 実践 知識を土台にした行動なので「実践」
試験や行事を行う 実施 公式な行事なので「実施」
道徳的な行動を表す 実践 倫理的な事柄なので「実践」
約束を守る 実行 言ったことを行動に移すので「実行」

【クイズ】正しいのはどっち?

ここまでの内容を理解できたか、クイズで確認してみましょう。

それぞれの場面で「実行」「実践」「実施」のどれが最も適切か、考えてみてください。

第1問:健康診断の場面

【問題】
会社から「来月、健康診断を(  )します」というメールが届きました。

(  )に入るのは「実行」「実践」「実施」のどれでしょう?

【答え】実施

【解説】
健康診断は会社が計画した公式な行事です。

あらかじめ計画された行事やイベントを行う場合は「実施」を使います。

「試験を実施する」「避難訓練を実施する」なども同じパターンです。


第2問:ビジネス書を読んだ後の場面

【問題】
ビジネス書を読んで「この本で学んだ時間管理術を(  )してみよう」と思いました。

(  )に入るのは「実行」「実践」「実施」のどれでしょう?

【答え】実践

【解説】
本で学んだ知識やノウハウを自分で試す場面では「実践」が最適です。

「実践」には「理論や知識を土台にして、自分で行動する」というニュアンスがあります。

「実行」でも間違いではありませんが、「実践」のほうが学びを活かすニュアンスが伝わります。

第3問:新年の目標を立てる場面

【問題】
友人が「今年こそダイエットを(  )する!」と宣言しました。

(  )に入るのは「実行」「実践」「実施」のどれでしょう?

【答え】実行

【解説】
目標や計画を行動に移す場面では「実行」が最も自然です。

「有言実行」という言葉があるように、宣言したことを行動に移すときは「実行」を使います。

「ダイエットを実施する」だと堅すぎる印象になります。

第4問:エコ活動の場面

【問題】
環境問題に関心があり「エコな暮らしを(  )している」と言いたいとき。

(  )に入るのは「実行」「実践」「実施」のどれでしょう?

【答え】実践

【解説】
環境保護やSDGsなど、価値観や信念に基づく行動を表す場面では「実践」が最適です。

「実践」には道徳的・倫理的な行動を自らの意志で行うニュアンスがあります。

「エコを実行する」だと少し軽い印象になってしまいます。

第5問:犯罪ニュースの場面

【問題】
ニュースで「犯罪を(  )した容疑者が逮捕されました」と報道されていました。

(  )に入るのは「実行」「実践」「実施」のどれでしょう?

【答え】実行

【解説】
犯罪行為を行うことは「実行」を使います。

刑法では「故意をもって犯罪を構成する要件にあたる行為を行うこと」を「実行」と定義しており、「実行犯」という言葉もここから来ています。

「実践」や「実施」は使いません。

【クイズのまとめ】

問題 場面 答え 判断のポイント
第1問 健康診断 実施 公式な行事・計画 → 実施
第2問 ビジネス書の学び 実践 知識・理論を試す → 実践
第3問 新年の目標 実行 宣言を行動に移す → 実行
第4問 エコ活動 実践 価値観・信念に基づく行動 → 実践
第5問 犯罪ニュース 実行 犯罪行為を行う → 実行

いかがでしたか?迷ったときは「何を前提に行動するか」を基準に考えると、正しい言葉を選びやすくなりますよ。

「実行」「実践」に関するQ&A

「実行」「実践」「実施」について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。

Q1. 「実行に移す」と「実践に移す」はどう違う?

A. どちらも使えますが、ニュアンスが異なります。

表現 意味 例文
実行に移す 計画や考えを実際の行動として始める 「アイデアを実行に移す」
実践に移す 理論や知識を実際の行動として始める 「理論を実践に移す」

「実行に移す」は幅広い場面で使え、「実践に移す」は学んだことや理論を行動に移すときに使います。

迷ったら「実行に移す」を使えば間違いありません。

Q2. 「実行力」と「実践力」の違いは?

A. 「実行力」が一般的で、「実践力」は教育分野でよく使われます。

  • 実行力:計画を行動に移し、やり遂げる能力。ビジネスで広く使われる
  • 実践力:学んだ知識を実際の場面で活かす能力。教育・研修の文脈で使われることが多い

「実行力のあるリーダー」「実践力を身につける研修」のように、場面に応じて使い分けましょう。

一般的なビジネスシーンでは「実行力」のほうがよく使われます。

Q3. 「理論と実践」はなぜ「実行」ではないの?

A. 「実践」には「理論を土台にして行動する」という意味があるためです。

「理論と実践」は対になる概念として使われます。

  • 理論:頭で考えること、知識として理解すること
  • 実践:その理論を実際に自分で行うこと

「実行」は単に「やる」という意味なので、「理論」と対比させるには意味が広すぎます。

「実践」は「理論に基づいて行動する」という意味を含むため、「理論と実践」という対比が成り立つのです。

Q4. 英語ではどう使い分ける?

A. 「実行」は execute / carry out、「実践」は practice、「実施」は implement が近い意味です。

日本語 英語 ニュアンス
実行 execute / carry out 計画や命令を遂行する
実践 practice / put into practice 理論や技術を実際に行う・練習する
実施 implement / conduct 制度や計画を施行する

英語でも日本語と同様に、場面によって使い分けがあります。

「practice」には「練習する」という意味もあり、「実践」の「自分で試す」というニュアンスに近いですね。

Q5. 「遂行」「履行」「敢行」「断行」との違いは?

A. それぞれニュアンスが異なります。

「実行」の類語には様々な言葉がありますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。

言葉 意味 例文
遂行(すいこう) 任務や仕事を最後までやり遂げること 「任務を遂行する」
履行(りこう) 約束や契約を守って実行すること 「契約を履行する」
敢行(かんこう) 困難を承知で思い切って行うこと 「強行軍を敢行する」
断行(だんこう) 反対を押し切って決然と行うこと 「改革を断行する」

「実行」が最も汎用的で、他の言葉はより限定的な場面で使います。

「遂行」は任務、「履行」は契約、「敢行」は困難なこと、「断行」は反対を押し切る場面、というように覚えておくと便利です。

まとめ:「実行」と「実践」を正しく使い分けよう

この記事では、「実行」と「実践」の違いについて、辞書の定義から具体的な例文まで詳しく解説してきました。

最後にポイントをおさらいしましょう。

比較項目 実行 実践 実施
意味 実際に行うこと 主義・理論などを実際に自分で行うこと 法律・計画などを実際に行うこと
前提条件 意志があればOK 理論・知識・主義 計画・法律・制度
使用範囲 最も広い(汎用的) 学習・道徳の場面 公式・制度の場面

使い分けの判断基準はシンプルです。

「何を前提に行動するか」——これを考えれば、迷うことはほとんどありません。

  • シンプルに「やる」と言いたい → 実行
  • 学んだこと・信じていることを行動に移す → 実践
  • 計画・行事・制度を予定どおり行う → 実施

また、漢字の成り立ちからも違いがわかります。

  • 「行」=いく、おこなう → シンプルに行動する
  • 「践」=ふむ、したがう → 決められたとおりに行う

どの言葉を使うか迷ったときは、最も汎用的な「実行」を選べば大きな間違いにはなりません。

ただし、研修で学んだことには「実践」、試験や行事には「実施」を使うと、より自然で正確な表現になります。

日本語には、似ているようで微妙に意味が異なる言葉がたくさんあります。

「実行」「実践」「実施」もその一つ。正しく使い分けることで、あなたの文章や会話はより伝わりやすくなりますよ。

著者・監修者情報

日本語ライター/語彙研究家。幼い頃から日本語や言葉の響きに深い関心を持ち、
言葉の意味や使い分けを体系的に学んできました。
現在は「日本語の奥深さをわかりやすく伝える」をテーマに、記事執筆・監修を行っています。

資格・経歴

  • 2012年:日本語検定1級 取得
  • 2012年:日本語文章能力検定1級 取得
  • 日本語教育・語彙研究分野での執筆・監修活動(累計100記事以上)

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※本記事は日本語学習・語彙研究の観点から執筆・監修されています。
※内容は複数の国語辞典・文化庁資料を参考に、独自の視点で再構成しています。

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