「退職願と退職届の違いがわからない…」「どちらを出せばいいの?」そんな悩みを抱えていませんか?
似ているようで使い分けを誤ると、会社とのトラブルや印象の悪化につながることもあります。
本記事では、退職願・退職届・辞表の違いから、状況別の正しい使い分け、さらに書き方や提出マナーまで詳しく解説します。
迷わず準備を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
退職願と退職届、辞表の根本的な違いとは?
退職関連の書類には「退職願」「退職届」「辞表」の3種類があります。
名前が似ているため混同されやすいですが、意味も用途も異なります。
ここでは、それぞれの役割と使い分けを整理していきましょう。
【願い出る】退職願:退職の意思を相談する書類
退職願は「会社を辞めたい」という意思を、あくまでお願いする形で伝える書類です。
まだ退職が確定していない段階で提出し、上司との相談を経て受理されるかどうかが決まります。
📌ポイント
- 提出するのは「最初の意思表示」のとき
- 「お願い」という立場なので、受理されない場合もある
- 円満退職を目指す場合はこの段階から丁寧に進めるのが安心
【届け出る】退職届:退職が確定した後に提出する書類
退職届は、退職が会社と合意して確定した後に出す正式な届け出です。
「願い」ではなく「通知」なので、基本的には会社側が拒否できません。
✅ 退職届の特徴
- 退職日を明確に記載する必要がある
- 一度提出すると撤回は難しい
- 就業規則に定められた期限を守って提出する
【役員・公務員用】辞表:一般社員は使わない書類
辞表は、会社の役員や公務員が職を辞するときに使う文書です。
一般の会社員が使うことはほとんどありません。
🌸 辞表の特徴
- 「役職そのもの」を辞める意思を示す
- 公務員や取締役、代表取締役などに使われる
- 一般社員は「退職願」「退職届」を使えばOK
一目でわかる!「退職願」「退職届」「辞表」の違い比較表
書類名 | 提出のタイミング | ニュアンス | 使用対象 |
---|---|---|---|
退職願 | 退職を相談するとき | 「お願い」 | 一般社員 |
退職届 | 退職が確定した後 | 「通知」 | 一般社員 |
辞表 | 役職や公務員を辞めるとき | 「辞任」 | 役員・公務員 |
あなたはどっち?状況別の正しい使い分けと提出タイミング
退職にあたって「退職願」と「退職届」のどちらを出すべきかは、状況によって変わります。
流れを間違えるとトラブルの原因にもなるため、ここではケースごとに正しい使い分けとタイミングを解説していきます。
円満退職を目指すなら、まずは「退職願」から
円満に退職したいなら、いきなり退職届を出すのではなく、退職願からスタートするのが基本です。
上司や会社との関係を大切にしながら、丁寧に話を進めることが、後々の評価にもつながります。
✅ 就業規則を確認するのが最初のステップ
退職を考え始めたら、まずは会社の「就業規則」を確認しましょう。
📌 退職の申し出期限(例:1か月前、3か月前)
📌 提出書類の形式(手書き・PC可)
📌 提出先(直属の上司か、人事部か)
会社によってルールが違うため、就業規則を読まずに動くと「提出方法が違う」と注意されることもあります。
✅ 直属の上司に退職の意思を伝えるタイミング
退職願は、いきなり人事部に出すのではなく、まずは直属の上司に相談するのがマナーです。
🌸 忙しい時期や会議直前は避ける
🌸 できれば面談の時間を取ってもらう
🌸 「相談したいことがある」と事前にアポイントを取る
丁寧な相談を経て退職が認められれば、その後に退職届の準備へと進めます。
退職日が確定したら「退職届」を提出
退職願で話がまとまり、退職日が正式に決定したら退職届を提出します。
この段階では「お願い」ではなく「通知」となるため、言葉遣いもより断定的にする必要があります。
✅ 法律上の提出期限は2週間前
民法では、労働者が退職を申し出た場合、原則2週間前に通知すれば退職できると定められています。
ただし、会社によっては「1か月前」「3か月前」といったルールがあるため、法律上は2週間でも、社内規定が優先されるケースが多いです。
参考:
e-Gov法令検索(民法)|デジタル庁
e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁
✅ 引き継ぎを考慮した理想的な提出時期
スムーズに退職するためには、引き継ぎ業務を見越して早めに動くのが安心です。
📌 退職の意思表示:2〜3か月前
📌 退職願の提出:1〜2か月前
📌 退職届の提出:退職日が確定したタイミング(1か月前が理想)
十分な余裕をもって行動すれば、上司や同僚との関係も悪化しにくく、最後まで良い印象で退職できます。
【テンプレート付】退職願・退職届の正しい書き方
退職願や退職届は、ただ気持ちを書くだけではなく、決められた形式で作成する必要があります。
手順を押さえれば5分程度で完成できるので、ここでは準備するものから具体的な書き方まで解説していきます。
準備するものリスト(便箋・封筒・ペン)
退職関連の書類を用意するときは、ビジネス文書としての体裁を整えることが大切です。
📌 必要なもの
- 便箋:白色で罫線のないもの(A4が一般的)
- 封筒:白無地・二重封筒が望ましい
- ペン:黒の万年筆またはボールペン(消えるペンはNG)
💡 書式は縦書き・横書きどちらでも構いませんが、日本企業では縦書きが好まれる傾向があります。
【例文あり】退職願の書き方(縦書き・横書き)
退職願は「お願いする書類」なので、表現も柔らかめにまとめます。
✅ 自己都合退職の場合は「一身上の都合」と記載
理由は細かく書かず、「一身上の都合により」とシンプルに書くのがマナーです。
✅ 退職希望日と提出日を明記
退職を希望する日付と、文書を作成した日付の両方を忘れずに記載しましょう。
📌 退職願(縦書き例)
退職願
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもちまして
退職いたしたく、お願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
所属 〇〇部
氏名 山田太郎 ㊞
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇様
【例文あり】退職届の書き方(縦書き・横書き)
退職届は「通知する書類」なので、断定的に「退職いたします」と記載します。
✅ 確定した退職日を記載
退職願と異なり、「退職日が確定してから提出」するため、日付を必ず入れます。
✅ 断定的な表現で「退職いたします」と書く
「お願い申し上げます」ではなく、「退職いたします」と言い切ることが重要です。
📌 退職届(縦書き例)
退職届
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもちまして
退職いたします。
令和〇年〇月〇日
所属 〇〇部
氏名 山田太郎 ㊞
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇様
円満退職のための提出マナーと注意点
せっかく正しく書類を用意しても、提出マナーを欠くと印象を悪くしてしまいます。
円満に退職するためには、封筒の扱い方や渡すタイミングなどの細かい点まで気を配ることが大切です。
ここでは実際の提出マナーと注意点を整理します。
封筒の書き方と書類の入れ方
封筒は第一印象を左右する大切なポイントです。
清潔感のある白無地封筒を選び、正しい方法で書類を入れましょう。
✅ 表面・裏面の書き方見本
- 表面中央に「退職願」または「退職届」と記載
- 裏面左下に所属・氏名を書き入れる
- 宛名は不要
✅ 書類の三つ折り方法と封入の向き
- 便箋は縦に三つ折りにする(横書きの場合も縦に折る)
- 封筒の表書きが上になるよう、便箋の表面を前にして入れる
- のり付けは不要。封は閉じない
上司への切り出し方と渡し方のポイント
書類を渡す場面も非常に重要です。
タイミングや言葉選びを誤ると、相手に不快感を与える可能性があります。
✅ アポイントの取り方と伝えるべき内容
- 「ご相談したいことがある」と伝えて時間をもらう
- 書類をいきなり渡すのではなく、口頭で退職の意思を再度伝える
- 「お世話になりました」と感謝を添えると印象が良い
✅ 避けるべきタイミングと場所
- 朝礼や会議直前など、忙しい時間帯
- 職場のデスクなど周囲に人がいる場所
- できれば落ち着いた会議室で1対1で渡す
会社から受理を拒否された場合の対処法
まれに「今は受け取れない」と会社が受理を拒否することもあります。
しかし、法律上は労働者に退職の自由があるため、一定のルールを守れば退職は可能です。
✅対処法のポイント
- 就業規則で定められた期限を守った上で提出する
- 内容証明郵便で送付すれば「提出済み」と認められる
- トラブルが長引く場合は労働基準監督署に相談する
まとめ
退職願・退職届・辞表は、似ているようで役割や使う場面がまったく異なります。
まずは退職願で意思を伝え、退職日が確定したら退職届を提出するのが一般的な流れです。
正しい書き方やマナーを守れば、会社との関係を崩さず円満に退職できます。
本記事を参考に準備を進めれば、不安なく次のステップへ進めるはずです。
ぜひ実践して、スムーズな退職を実現してください。