「那」という漢字が名前に使うのに適さないとされるのは、どうしてでしょうか?
- 疑問を呼ぶ「なぜ?」という意味の訓読みが存在するから
- 「刹那」=「短命」を思い起こさせるから
- 「那落」=「地獄」のイメージがあるから
エキゾチックな魅力を放つ「那」は、見た目も音も魅力的。
しかし、赤ちゃんの名前には不適切との意見もあります。
この記事では、「那」の意味や背景、名前に使われる理由や適さないとされる理由、人気度、子供の名前での使用例を詳しく解説します。
この記事を読めば、「那」を名前に使うかどうか、あなた自身で決めることができるでしょう。
「那」の意味と由来
ここでは、「那」という漢字の意味、由来、そして使われ方について紹介します。
名付けの際の参考にしてくださいね。
「那」の由来
「那」という漢字は、「おおざと」と大きな耳を象徴する文字が組み合わさって作られています。
「那」の部首は「おおざと」で、「人が住む村」を意味します。
ここに豊かさを象徴する大きな耳を加えることで、「豊かな村」という意味が生まれました。
また、「那」の左側は「冄(ぜん)」という文字が変化したとも言われています。
「冄」は糸や毛がしなやかに伸びる様子を表し、「美しい村」や「穏やかな村」という意味も持つようになりました。
那の使われ方
「那」という漢字は、古代インドの梵語を日本語に翻訳する際に使われました。
仏教用語には「那」を含む言葉が多く、「刹那」や「旦那」などがその例です。
日本語では疑問文に「那」を使うことはありませんが、漢詩では疑問文や反語表現に用いられます。
反語表現とは、逆の意味を疑問形で述べることで、本来の意味を強調する技法です。
また、明治時代には俗語として「那箇(なあこ)」や「那辺(なへん)」といった使い方もされていました。
これらは「あれ」や「あそこ」、「どこ」「どれ」といった意味を持ちます。
「那」の意味
「那」には以下のような意味があります。
- 美しい
- 豊かな
- ゆったりとした
- 疑問や反語
- どこ、どれ
それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
美しさ
「那」の意味の一つに「美しい」があります。
これは、那の左側が「冄」の変形とされる場合の解釈です。
しなやかな糸や毛の美しさから派生し、「美しい」という意味になりました。
このため、子供に「美しい人に育ってほしい」という願いを込めて「那」を名前に選ぶ親御さんも少なくありません。
豊かさ
那の左側が大きな耳を象徴する場合、「豊かな」という意味も生まれます。
日本では大きな耳を「福耳」として縁起が良いとされ、裕福な暮らしを象徴しています。
このため、「那」を名前に含めることで、「経済的な苦労のない人生」や「心の豊かさ」を願う親御さんもいます。
ゆったりとした雰囲気
「那」には「ゆったりとした」という意味もあります。
これは「冄」がしなやかでゆっくりとした動きを示すことに由来します。
「ゆったりと穏やかな人生を歩んでほしい」という願いを込めて、名前に「那」を選ぶことも良いでしょう。
疑問や反語
那は疑問や反語を表す文字としても知られています。
日本語では疑問文には使われませんが、漢詩では「那得自任専=那(なん)ぞ自ら任じて専らにするを得んや」のように使用されます。
このような反語は、自分の気持ちを明確に伝える強い意味合いを持ち、「自分の意思をしっかりと伝えられる人になってほしい」と願う親御さんもいるのです。
親御さんが赤ちゃんの名づけで悩んでいる方は、こちらの記事が参考になりますので、併せてご覧ください。
名前における「那」の読み方は?
一般的に「ナ」と読まれる「那」ですが、名前に使う際には「とも」「ふゆ」「やす」という読み方も可能です。
これらの読み方は男女問わず使用できるため、「那」は非常に汎用性の高い漢字と言えます。
多くの漢字はそのイメージが性別によって使い分けられることがありますが、「那」は中性的な魅力を持ち、どちらの性別の名前にも適しています。
また、読み方がシンプルなため、初対面の人にも間違えられにくいのが特徴です。
名前に「那」を使うと良くない3つの理由
「那」が名前に適さないとされる理由を、具体的に3つに分けて詳しく見ていきましょう。
疑問を呼ぶ「なぜ?」という意味の訓読みが存在するから
「那」が名前に適さないとされる一つの理由は、疑問を表す「なぜ?」という意味の訓読みが存在することです。
具体的には、
- 「那(なん)ぞ」
- 「那(なに)」
- 「那(いかん)ぞ」
などがあります。
名前に「那」を含むと、相手が「なぜ?」と誤解する可能性があり、コミュニケーションに混乱を招くことが懸念されます。
ただし、これらの訓読みは古文書で見られるもので、現代では一般的ではない点も留意が必要です。
「刹那」=「短命」を思い起こさせるから
もう一つの理由は、「刹那(せつな)」という言葉を連想させることです。
「刹那」は「瞬間」や「短い時間」を意味し、そのため「那」を名前に含むと、
- 短命
- 一時的なもの
といったネガティブな印象を与える恐れがあります。
このような連想から、「那」を名前に使うことを避ける人もいます。
「那落」=「地獄」のイメージがあるから
「那」が名前に不向きとされるもう一つの理由は、「那落(ならく)」という言葉を思い起こさせることです。
「那落」は仏教用語で「地獄」を意味し、苦悩や罰のイメージを持ちます。
名前に「那」を含むと、このようなネガティブな印象を与える可能性があるため、避ける傾向にあります。
なお、「那落」は通常「奈落」と書かれることが多いですが、「那落」という表記も存在します。
名前に「那」を選ぶ3つのポジティブな理由
「那」にはいくつかのネガティブな側面がありますが、それでも多くの親が子供の名前に選ぶ理由があります。
その根拠として挙げられるのは以下の3点です。
- 「美しさ」を象徴するため
- 「豊かさ」を意味するため
- 「ゆとり」を表すため
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
美しさを象徴する「那」
「那」は美しさを象徴する意味を持ちます。
特に、この漢字の左側が「冄」の変形とされる場合、美しいという意味が強調されます。
元々はしなやかな糸や毛の美しさから派生した意味です。
このため、名前に「那」を取り入れることで、「美しい人に育ってほしい」という願いを込めることができます。
このような理由から、「那」を名前に選ぶ親御さんは少なくありません。
豊かさを意味する「那」
「那」が名前に適しているもう一つの理由は、豊かさを意味することです。
那の左側が大きな耳を象徴すると解釈されることから、「福耳」として縁起が良いとされ、裕福な人生を象徴します。
このため、「那」を名前に含めることで、経済的な苦労のない人生や内面的な豊かさを願う意味を込めることができます。
ゆとりを表す「那」
「那」が名前に適している理由の中には、「ゆとり」を表すことも含まれます。
この漢字は緩やかな時の流れやのんびりとした時間を象徴し、人の心に穏やかさや安らぎをもたらします。
名前に「那」を取り入れることで、その人の内面的なゆとりや心の余裕を表現することができます。
また、「那覇」や「那須」などの地名にも「那」が使われており、これらの地域は自然環境や人間性が穏やかで、時間の経過がゆったりとしている傾向があります。
このように、「那」を名前に用いることで、豊かな心の持ち主であり、心にゆとりを持った人物像を想起させることができます。
「那」の現在の人気度はどの程度?
現在、「那」という漢字はどのくらいの人気を博しているのでしょうか?
この疑問に答えるために、以下の2つの観点から「那」の人気度を探ってみました。
- 命名ランキングでの順位
- 「那」を含む名前の有名人
それでは、詳細を見ていきましょう。
命名ランキングにおける「那」の位置
大手機関が発表する前年度の赤ちゃんの名前ランキングでは、トップ100の中で「那」を含む名前がどのような位置にいるのでしょうか。
男の子の名前では「那」を含む名前はランキング外でしたが、女の子の名前では「咲那」が81位、「心那」が98位にランクインしています。
参考:明治安田生命 | 名前ランキング
これらのデータから、女の子の名前としてはある程度の人気があることが分かります。
「那」を名前に持つ有名人
「那」を名前に含む有名人は以下の通りです。
- 片瀬那奈:俳優
- 新井恵理那:フリーアナウンサー
- 西井万理那:アイドル
- 生田佳那:タレント
- 芹那:タレント
- 東條加那子:声優
- 吉村那奈美:声優
- 宮本佳那子:声優
- 佐藤世那:元プロ野球選手
- 柘植世那:プロ野球選手
- 中尾真那:サッカー選手
- 吉田知那美:カーリング選手
- 高木菜那:スピードスケート選手
- 鈴木環那:棋士
- 奥井那我人:俳優
- 野沢那智:俳優/声優/演出家
- 福崎那由他:俳優
- 山口那津男:政治家
これらの有名人の名前には「那」が含まれており、多様な分野で活躍しています。これは「那」が名前として広く受け入れられていることを示しています。
「那」を含む男の子の名前の例
「那」という漢字を男の子の名前に取り入れる際の具体的な例をご紹介します。
- 那晴(ともはる・やすはる):晴れやかな未来を表す名前。
- 那緒樹(なおき):大きな木のように成長する強さを持つ名前。
- 那由多(なゆた):無限の可能性を秘めた広がりを持つ名前。
- 那之(やすゆき):穏やかさと信頼感を与える名前。
- 那日斗(ふゆひと・ともひと・やすひと):日々成長し、勇気を持って挑戦する名前。
- 那彦(ふゆひこ・ともひこ・やすひこ):伝統を重んじ、誠実さを持つ名前。
- 那信(とものぶ):信頼と誠実さを大切にする名前。
- 那樹(ふゆき・ともき):強く、しっかりと根を張る名前。
- 那義(なぎ):正義感が強く、周囲を引っ張る名前。
- 那月(なつき):夏の月のように明るく、人々を照らす名前。
- 那凪斗(ななと):穏やかな海のように、心が平和な名前。
- 那我彦(ながひこ):自己を大切にし、力強く生きる名前。
- 那波(ななみ):波のように力強く、時には優しい名前。
- 那緒太(なおた):大きな存在感を持ち、周囲を支える名前。
- 那偉瑠(ないる):偉大さと流れるような柔軟さを持つ名前。
- 那津男(なつお):夏の男、明るく元気な印象の名前。
- 那由貴(ともゆき):貴重な存在で、周囲に喜びをもたらす名前。
- 那雄太(なゆた・なおた):雄大で、力強い意志を持つ名前。
- 那緒(なお):緒を結ぶように、人々をつなぐ名前。
- 那琉彦(なるひこ):瑠璃のように美しく、勇敢な名前。
- 那留(ともる):留まることなく、成長し続ける名前。
- 那人(やすと):人々と和やかに交わり、信頼される名前。
- 友那(ともやす):友情と安らぎを大切にする名前。
- 那弥(ともや):広がりを持ち、多くの人に愛される名前。
- 真那人(まなと):真実を追求し、人々を導く名前。
- 那康(ともやす):安らぎと健康を願う穏やかな名前。
- 千那(ちふゆ):千の冬を越え、強く生きる名前。
- 嘉那多(かなた):遠くへと広がる大きな夢を持つ名前。
- 伽那斗(かなと):物語のように魅力的で勇敢な名前。
- 日那太(ひなた):太陽のように明るく元気な名前。
- 明那(あきとも):明るく、人々に希望を与える名前。
- 玲於那(れおな):響きの美しい、個性的な名前。
- 世那(せな):世界を広く見渡し、大きな視野を持つ名前。
- 那智(なち・やすとも):知恵と理解を兼ね備え、人々を導く名前。
「那」を含む女の子の名前の例
女の子の名前に「那」を取り入れる際の具体的な例をいくつかご紹介します。
- 那帆(なほ):帆のように大きく広がる夢を持つ名前。
- 那子(ふゆこ・ともこ・やすこ):季節を超え、長く愛される名前。
- 那々子(ななこ):明るく元気な印象、親しみやすい名前。
- 那奈香(ななか):香り高く、人々を魅了する名前。
- 茉那(まな):清らかで優しい心を持つ、穏やかな名前。
- 莉那(りな):美しく優雅、上品な印象を与える名前。
- 那佳(ともか・くにか):優しさと美しさを兼ね備えた名前。
- 佳那子(かなこ):美しく、周囲を明るくする名前。
- 凛那(りんな):凛とした強さと優しさを持つ名前。
- 那智華(なちか):知恵と華やかさを兼ね備える名前。
- 那都貴(なつき):夏のように明るく、貴重な存在の名前。
- 那津(なつ):夏のように暖かく、人々を惹きつける名前。
- 那美(なみ・ともみ):波のように穏やかで美しい名前。
- 那留(なる):成長し、大きな可能性を秘めた名前。
- 那流美(なるみ):流れるような美しさと優雅さを持つ名前。
- 愛那(あいな・まな):愛され、愛を与える温かな名前。
- 笑那(えみな):笑顔が魅力的で、周囲を幸せにする名前。
- 恵里那(えりな):恵み豊かで、人々を包み込む名前。
- 麻里那(まりな):海のように広い心を持ち、穏やかな名前。
- 聖那(せいな):聖なるような清らかさと美しさを持つ名前。
- 仁以那(にいな):仁愛と優しさを持ち、人々を惹きつける名前。
- 珠理那(じゅりな):珠のように貴重で、理知的な美しさの名前。
- 華那(かな):華やかで、人々の目を引く魅力的な名前。
- 佳那恵(かなえ):美しさと恵みを兼ね備えた、温かな名前。
- 嘉那芽(かなめ):芽吹くように成長し、人生を彩る名前。
- 加那代(かなよ):加わる喜びと代々受け継がれる名前。
- 咲那(さきな・さな):花のように咲き誇り、人々を魅了する名前。
- 千那津(ちなつ):千の夏を超える、永遠の輝きを持つ名前。
- 那緒子(なおこ):緒を結ぶように、人々をつなぐ名前。
- 那世(ともよ・やすよ):世界に広がる優しさと和を持つ名前。
- 知那実(ちなみ):知恵と実り豊かな、成長する名前。
- 那都那(なづな):都会的で洗練された、モダンな名前。
- 那南(ななみ):南国のように温かく、明るい名前。
- 美那穂(みなほ):美しく穂を結ぶ、豊かな成長を願う名前。
- 瑠那(るな):瑠璃のように美しく、神秘的な魅力の名前。
- 那津子(なつこ):夏の子、明るく元気な印象の名前。
- 那代(ともよ・やすよ):代々受け継がれる、温かな愛の名前。
- 日那(ひな):太陽のように明るく、元気な名前。
- 優那(ゆうな):優しさと穏やかさを持ち合わせた名前。
- 未央那(みおな):未来への希望と夢を持つ、広がりのある名前。
- 亜那(あな):新しい始まりと、希望に満ちた名前。
まとめ:「那」を使った名前、最終的にどうする?
「那」を名前に使う際のネガティブな側面としては、「なぜ?(疑問詞)」の訓読みや「刹那」の連想、さらに「那落」が「地獄」を連想させる点が挙げられます。
一方で、美しさや豊かさ、ゆとりを意味する「那」は、名前に適しているとも言えます。
最終的には、名付ける側がネガティブな要素とポジティブな要素のどちらを重視するかによります。
個人的には、どんな漢字にも良い面と悪い面があるため、「那」に関してもネガティブな要素はあまり気にしなくても良いと思います。